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アンハッピー?



「クロス、なんか声しない?」
「気のせいだろ」
「そうかなぁ」

街の近くにあった小さな村のカ喫茶店のオープンテラスでクロスと私はコーヒーを飲んでいる。結局、休憩だ。

「ホテルまでまだあるね」
「あぁ」
「クロスどうする?」
「俺に聞くな」
「え、じゃあの街にいた方がよかったんじゃないのかな」
「さぁな」

うわ、適当。ため息混じりに追加で頼んだケーキを口に入れる。途端、近くで爆発音のような音が響きクロスと目が会う。恐らく、あの街にエクソシストが来てアクマを倒しているのだろう。それがアレンだったりして、なんとなくそう思いクロスに言ったらクロスは笑った。

「お前勘だけはいいからな」
「クロス。お砂糖、頂ー戴」
「名前はそんなにオプションが欲しいらしいな。いいぞ、とっておきのオプションを用意してやるからな。ホテル行ったら心して待ってろ」
「ご、ごめんない」

眼が本気だ…!嗚呼恐ろしい!本当に何で私はクロスと恋人なんだろう。砂糖ぐらい取ってくれたっていいのに。眉間に皺が寄りつつも砂糖を自分で取る。肝心のクロスは煙管を蒸しながら風景を眺めていて、何だかその姿が絵になっている。整った端正な顔立ちに、長い指、綺麗な赤色の髪。やばい、かっこいい。

「何だ」
「何でもなーい」
「いい度胸だな苗字」
「クロスが私の名字で読んだ!珍しいね、クロスって私を名字で呼ぶの嫌いな筈なのにね」
「名前が武家って事はこっちで言う貴族だろ?腹立つ」
「ひ、酷い!」
「第一それっぽくなさそうな喋り方だからか、余計腹立つな」

私に貴賓を感じないと指摘するクロスは、半ば正しい。否、大分正しい。しかし私だって武家の娘だ。誇りはある。

「クロスは、貴賓たっぷりな私がそんなに見たいんですか」
「は?」
「今度見せてあげる」
「下らねぇ」
「帯をくるくる剥ぎ取れるチャンスなのに珍しいね」
「それとこれは別だ。ま、貴賓たっぷりな名前を崩すのも楽しいな」

性格悪いなー、ため息ついて笑うとクロスは分かってか分からないでか意味深な笑顔を浮かべて立ち上がった。

「思い出した」
「何を?」
「ホテルより行く所があった」
「うん」
「喜べ、吸血鬼の城だ」
「へぇ、吸血鬼。吸血、鬼。吸血鬼!?え、本気なのクロス!?」
「本気だ」



(思わずコーヒーを吐き出す所だった。まったく、そんなサプライズは心臓に悪いからよしてほしいんだけど)









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