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ん …小説
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部活の準備は一年の仕事。
普段通りに準備を始めようとした、けれど。


「利央はやんなくて大丈夫だから、マネジの仕事してこいよ。」

…と、迅に言われた。

それで思い出した。
今、俺は女の子なんだ。






おんにゃのこ






部活が始まった。
始まってわかったことがある。

マネジャーの仕事って意外にキツイ。

選手がプレーをしている時は水分やタオルを用意する、選手が怪我をした時のためにテーピングの道具をつねに持ち歩くなどで結構動き回る。さらにその他の雑用もこなさなければならない。



「っはぁー…疲れた…」


一息ついてグラウンドへ目を向けた。



−−−あ、準さんが投げてる−−−


グラウンドの真ん中で彼は一番輝いている。
彼の目線の先には俺じゃない誰かがいる。捕手として。彼のパートナーとして


−−−ずるいよ。


俺以外の人にその顔を向けないで。
そこは俺の場所なのに。


胸が痛んだ。
男だった時は俺がいた場所に今はいくことができない。

女でいることがこんなにもやもやするなんて思わなかった。
俺は今まで恵まれていたんだね。


どうして俺は女の子になりたいなんて思ったんだろう。
俺が一番大好きなあの人に、一番近い場所を失ってまで得たものはなんなんだろう。


目の前がかすむ。
気持ち悪くなってきた。




−−−立っていられない。


俺は意識を手放した。










誰かが俺の名前を呼んだ、気がした。








−−−−−−−−−−−

(あいつが女だったなら、俺は−−−)

誰かの声を感じる。

(女になればいいのに。そうしたら−−−)

誰?
『あいつ』って、まさか俺の事?
『そうしたら』どうするの?

(俺は−−)

声が小さくなっていく。
待って、もっと話を聞かせて…



その声は答えなかった。









「ん……、」

白い天井が見える。
ここはどこだろう。


「…気がついたかよ。」

声がした方を見るとそこには準さんが腕を組んで立っていた。


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あきゅろす。
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