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続き物
C
土曜日
始めて真面目にサッカーを見た。
そこには大鳥と駒澤と陣明もいて、ちょっとビビったけど直ぐに目が釘付けになったのを覚えてる。
サッカーってあんなに面白いものだったんだ!ってそんとき思った。


久しぶりに素敵な土曜日が過ごせた。
でも、そんな素敵なことがあった日も終わり
今日は一週間で特に憂鬱になる月曜日だったりする。


赤いランドセルを上下させながら歩けば
二辻小学校が見えてきた、近づくに連れて段々気分が重くなってくる…。



みょうじ!
みょうじはどこだ!?
教室に足を踏み入れた瞬間みょうじの席に足を向ける俺
やっと月曜日になった!俺の輝く毎日がもう少しで…!


「みょうじ」

「…なんだよ。」


口が悪い…イコール
ケーカイされてる…んだよな。


「いやいや…ほら、あん時はホント悪かった!」

「どういう風の吹きまわしだよ…。」

「イヤー…聞いたよお前がさナンパにあってるって……」

「お前…どこで…」

「コーチからだけど?…だからさ…俺が…」


俺が言おうとした言葉はみょうじの手によって塞がれた。


「そんな嫌なこと思い出したくないのに……嫌がらせがしたいのかよ?」


ははっと笑って
目尻に涙を溜めて走り際にそう言ったみょうじに俺サイテーなことしてるんだって気づいたのは授業開始のチャイムが鳴ってからだった。


「ハルキ」

「なんだよ、聡」

「みょうじと何話してたの?」

「別に何でもねーよ。」

「そのわりにはみょうじ帰ってこないじゃん」

「みょうじ、みょうじって…追いかければ良いだろ。」

「ハルキの馬鹿、見損なったよ。」

「何とでも言えよ。」


走って出ていく聡の後ろ姿に本当に馬鹿だ、俺…なんて柄にもなく思っちまって。


「良いのか…追いかけなくて?」

「うっせー」


陣明にまで心配されて俺格好ワリーな…



「…先生、少し寝てて良いですか?」

「また…何かあったの?」

「何でも…ないんです。ただ…ちょっと本当に具合が悪くて…」

「そう、じゃあ使っていって」

「…はい。」


柔軟剤だか洗剤のいい香りがするベッドに顔を埋めると少し気分が和らいだ…気がした。
先生は私の状況を学校で知ってる唯一の人
どうしても耐えきれなくなって
泣いて駆け込んだ私を
先生はポンポンと背中を擦りながら話をひとつひとつ聞いてくれた。あの時のことはきっと忘れない。




ハルキがみょうじを傷つけた…。
僕が…僕がみょうじを助けなきゃ
僕は全力疾走して校内を走り回る。
廊下は走っちゃいけない…なんてルールは頭の中からすっとんでた。
だけどどこを回ったって探したってみょうじは見つからない。
帰っちゃったのかな…。
みょうじは何も悪くないのにどうして…辛いことばかり
そして僕はいつだって助けられないんだ。


がらり、とドアを開ける。
そんなまさか…僕の見間違いだよね?
みょうじがハルキに抱きついてるなんて


「みょうじ…ハル…キ」

「…聡!?」

「どうして…抱き合ってるの?」


平然を装おって笑って質問する…けど
泣きそう…だよ。


「ゴキブリだよ、ゴキブリ…。」

「……へ?」

「……っはあ…もう…いない?」


涙目でハルキの胸から顔を離すみょうじ。
虫…苦手なんだ…。
いや、それよりも…
「ハルキなんでいるの?」

「なんでって…サボりたかったからだよ。」


そっぽを向いて
ブスッとした表情をするハルキ…というか…


「みょうじ…もういないから大丈夫だよ。」

「あ…うん。」


いつまでくっついてるつもりだったんだろ…ハルキも離そうとしないし…。


「みょうじ……さっきはマジで悪かった!あと、服も!…だから、だからお詫びに俺がお前のことをこれから守ってやるよ!」

「え…」

「は?」




大鳥の言葉に不覚にもときめいた…なんて。
抱き返してくれた手が嬉しかった、なんて…私どうかしてる。

*まえつぎ#

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