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veryshort
サトシ
「タッケシー!」


ぎゅっと背中に飛び付く。


「ななし!?…危ないだろ?」

「だってだってタケシの背中が飛び付いてーって!!」

「まったく…危ないから程々にな。」

「わーい!タケシだーいすきっ!!」


微笑ましいこの光景をおもしろく思わない黒髪の少年が一人
二人のやり取りをムスっとした表情で見ていた。


「もう、ななしったらカワイイんだから!二人とも…そうね…兄妹みたいだわ!」


そしてまた、一人の少女もその光景を見ていた。


「ななしはいつだってああなんだよ。誰彼構わず…。」

「何々サトシー??もしかしてー焼きもちー??」

「なっ!そうじゃない!」

「そ?それにしちゃ眉間に皺が寄ってるわよ。」

ツン、とヒカリがサトシの眉間の皺をつつく


「なっ!」

「ななしね、告白の仕方にはこだわりがあるんですって…」

「ふ、ふーん…」


興味の無いフリをしながらも次は次は?と聞いてくるサトシにヒカリはクスリと笑った。
「ふふっ…慌てない慌てない…」




暫くすると周りは夕陽でピンク色に染まりロマンチックな雰囲気を漂わせていた。


近くには海
「行きたい!」
というななしの一言にサトシが腰をあげた。
ポケモンセンターから出てすぐに見えるオレンジ色の海
きれー!!と喜びからかその海に向かって走り出すななしを慌てて追いかけるサトシ


「ななし、いきなり走ったら危ないだろ!」

「だって!すっごーい綺麗な海があるんだよ??走らずにはいられないよ!」

「走らずにはいられない…か。」

「サトシ?どうしたの?」

「ん?ああ…ちょっと…俺もななしに便乗しようかな…と思って。」

「ホント!?いーね!」

「しー」

「へ?」


優しくサトシの人差し指がななしの唇に当てられる。
柄にもなく顔を赤くするななしにサトシは満足そうにふわりと優しい笑みを浮かべる。


「ななし…ずっと前から…小さい頃からお前が大好きだ。」

元々赤かったななしの頬はこれでもかと言うくらいに赤く染まる。


「サトシ…いきなり…」

「いきなり…じゃない…いつか言おう言おうって思ってた。それが今日になっただけだ。」

「だ…だって私…うるさいしおバカだし…な、何の取り柄もなくて…そのサトシには勿体無いよ…。」

「ななしは…俺が嫌いなのか??」

「ちがうよっ!!サトシのことはだいすきっ!!」

「本当か!?」

「え、あ!私いまサトシがすきって!」


頬に手を添えるななしはまったく目を合わせてくれなくて下から覗き込む。


「わわっ!!見ないで!私いま真っ赤…!」

「だったら尚更みたい…ななし…。」

「な…恥ずかしい…」

「俺たち…両思いなんだよな?」

「え…うん?」

「だったら俺はもう自分に素直になる…大好きだーななし!」


ぎゅっとななしを腕におさめるとニコッと笑うサトシにななしも眩しいくらいにサトシに笑いかけた。



(あのね…ななしはね海とかロマンチックな場所で大好きだーって!告白して欲しいんですって。)

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あきゅろす。
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