[携帯モード] [URL送信]
4-34


きょとん、と彼の意地悪げな表情を見返しながら、ゆっくりとその言葉が脳に浸透してくる。
すると、途端にじわじわと顔が熱を持ってきて。

なんか僕、ものすごく恥ずかしいこと言われてないか。

思わず両手で両耳を握って、その熱さを確かめる。
うひー、めっちゃ熱い。

「へぇ、可愛い照れ方すんね」
「うるせーや。変な言い方すんな、幼馴染」
「いーや、これであってるよ。俺には分かる。俺には隠せないね。」

最初とは打って変わって明るい表情をする幼馴染君が、のっしりと肩を組んでくる。
内緒話をするように、囁いてくる声がやけにくすぐったい。

「表情が違う。態度が違う。視線が違う。」
「親友ってやつかもしれないから、ね」
「ふーん、親友、ね。」
「妬けちゃう?」
「・・・、・・・」

反撃とばかりにニヤと笑って顔を見上げると、キツネにつままれたような顔をして彼は無言になった。
一矢報いたことに嬉しくなり、僕からも肩を組む。

「仲良くやろうぜ、幼馴染どの!」
「・・・・・一本取られた。アンタ、面白いよ」

ぐっと頭を抱きこまれるように肩を寄せられ、二人で大きく声を立てて笑った。
するとその声に振り返った一実が、ぎょっとしたような驚愕の表情を浮かべてこちらに走り寄ってくる。

「な、お前らなんだその距離感!」
「ダチです」
「急接近です」
「恋が芽生える寸前です」
「寸止めです」
「・・・・・・・・・・似た者同士なんだな。」

はぁ〜、と肩を落とす一実を、二人でにやにやと見つめた。

一実には、こんな友達がいたんだな。
彼がきっと、一実を支えてきたんだろう。
彼の言葉から一実を思う気持ちが伝わってきて、なんだか頬が緩んだ。
そんな彼からこっそり囁かれた言葉。

(「戦場に行くような顔して家を出てったから心配してたけど、アンタがいるなら平気そうだな。一実、ちょっと雰囲気が柔らかくなったよ」)

僕のせいじゃないと思うんだけど。
この短時間で、買いかぶられてるなぁ。
まぁでもとりあえずは、と、へらりと笑って見せた。



[*前へ]

34/34ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!