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とにもかくにも。
言葉のコミュニケーションは大切だよーって、伝えたいんだよ!僕は!
人のコミュニケーションの3割は言葉によるものなんだから、使わないなんて不利すぎる!
でも意外と言葉にするのって難しい。
素直に言えないことだってある。
形にすることは、いつだってリスクと羞恥をともなうことだから。

でもだからと言って、言わなくても分かって欲しいってーのは、傲慢じゃないかいお前さん。と、僕は言いたい・・・
これ、どっかの誰かさんの言葉ね。
僕、思わず半眼になっちゃったよ。呆れて。



そんでもって後者の”キツネ”っていうのは、直接聞いたことはないのだけれど、多分「人を騙す」って意味と、「虎の威を借る狐」ってとこから来ている、のかね。
全くうまいこと言ったもんだと、僕は座布団でもあげたいぜ。
でもそんな僕の感心を余所に、これを最初聞いた時の兄ちゃんズの怒りは相当なもんでした。
あ、「虎の威を借る狐」の虎って、兄ちゃんズのことだろうと思われるので、余計にね。
この危ない界隈を歩きまわるのに、過保護な兄ちゃんズを引き連れ歩いていたから、その様子からそんな名前が付いたんだろうはずで。
兄ちゃんズはこの辺でも恐ろしく強い美形双子として有名だったから、一緒にいれば僕に手を出せる輩なんてそうそういなかったわけで。
でも実は、僕は結構交渉人、って呼ばれるよりは気に入ってたりするんだよなー。
いいじゃんなぁ、キツネ。
こう、肉食!な感じがして!
ウサギくらいは食べちゃうぜ!ぜ!って感じがあってさ!


僕は首を振って、にっと口の端をあげて笑ってみせた。

「いえいえ。早苗さん、バイク似合うなぁって。」
「・・・お前、なぁ。」

にやにや笑って見せると、早苗さんが困ったように、照れたように顔をしかめて。
なんだからそれが妙にかわいくて、思わず笑みが深くなる。
イイ男なんだから、言われ慣れてんだろうに!

「こんなことで照れちゃうなんて、早苗さんも青いですなぁ〜」
「あのな、そりゃお前・・・・・あぁ、もう!」

手を口に当ててくふくふとからかい混じりに笑ってみせると、早苗さんが声を荒立ててフルフェイスのヘルメットを投げてきた。
荒い声とは裏腹に、そっと柔らかく投げられたそれを危なげなくキャッチして、被る。
おお、闇夜に真黒なシールドつけたらなんも見えないぜ。

「シールドは下げておきなさいな。真ん中突っ切って行くから。」
「はーい。」

素直にシールドを下げて、早苗さんの後ろにまたがる。
うう、足がつかない。
脚の短さがあからさま過ぎて、切ない。

「で、いきなり乗り込んでいいのか?」
「うん、黒さんとこの陣地に乗り込んでくれれば、あとは僕が。なるべく穏やかな感じがいいなぁ。目立つのもヤだしなぁ。」
「ばれたらあとで双子に怒られるしなぁ」

そうそう。
分かってるなら頼むぜ、早苗さん。
穏便にね。穏便に。




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