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土方 もっちゃもっちゃ
お馬鹿な牛さんはめちゃくちゃ可愛い。けど、牛さんは、不意に破壊的な言葉を俺に言う。

「ねぇ、牛さん」

もっちゃもっちゃと目の前で草を頬張るのは俺の大好きな牛さん、十四郎。

「うーしーさん」
「……なんだよ。今、忙しいんだ、ちょっと待ってろ」

再び牛さんは草を頬張る。大好きな虎さんがここに居るのに、無視ですか。

「ねぇ、無視ー?」
「……」

うわ、ガン無視だ。
わかった、もういい。帰る。木の上から飛び降りて、身を翻した。

「ばいばい」

一言だけ挨拶を残して、帰る……あれ、足が進まない。それになんだかしっぽに違和感が。

チラリと後ろを覗くと、しっぽにはしっかりと十四郎の手がくっついていた。

「ちょっと、なーに」
「そんなにココの草が食べてーのか」
「は?」

……もしかして、俺が草食べると思ってる?
俺は虎だよ?

「ココの草が食べれねーからって、帰んなよ。譲ってやるから」

いやいや、だから草食べないって。

「……牛さん、俺は草食べないよ、虎だもん。牛さんが俺のこと見ないから居なくても良いかなーって」

あ、牛さん、驚いてる。さすがに気づいたかな。俺が草に嫉妬してるの。

「それはだめだ」
「は?」
「いなくなっちゃ駄目だ。銀時が傍にいるとこの草はもっと美味しくなるんだぞ」

この子、馬鹿だ。でも……可愛い。

俺が居なくちゃ美味しくないってことだよね。

「それに俺の事、大好きだろ。俺もお前が大好きなんだよ、だから一緒に居たい」
「……ずっと草食べてるじゃん」
「腹減ったから」
「あぁ、そう」

少し呆れる。呆れるけど可愛い。

「傍にいろよ」

ンなこと言わなくても、このまま無理やり動いたらしっぽ切れちゃうし。十四郎にぎゅうぎゅう握られてるんだもん。

「返事は?」
「……りょうかい」

この馬鹿な牛さんがそれでも大好きなんだよな。

「草食べ終わったら食べていい?」
「なにを」
「牛さん」
「なッ!! ざけんな!!」

牛さんは勢いよく顔を上げて俺を見た。

「やっと、俺みた」

微笑んで十四郎を見ると、真っ赤になっていた。

「銀時……」
「んー、な」

なに。とは言い切れなかった。だって牛さんが馬乗りになってきたから。

「え、なに」

俺はうろたえる。だって、こんなの初めてで。

「可愛い」

牛さんは口を近づけてきた。俺はやんわりと手で押さえつけた。

「牛さん、口に草ついてる」

むっとした顔で口をぬぐった。手に草がついてた。

「じゃまっ」

牛さんはそれを地面に投げつけた。

「美味しい草なんじゃないの?」

苦笑しつつ草を広い、牛さんの口に近づけた。
数秒もかからずにパクりと食み、むしゃむしゃと食べた。

「美味し?」
「ん、うまい」

くぱっ、と口を開けて、中身がなくなったのを伝えてきた。

「食べ終わった」

だから、と、顔に唇を押し付けてきた。

「する?」
「ん」

もしかしたら牛さんの頭の中には草と俺しかないのかも。

      −END−

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