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銀時 How will you love he?
結野アナは生放送で衝撃のニュースを口にした。

『今現在、幕府のお偉いさんが殺害されました! 城には誰一人と残っていない模様です! あ、誰かいます!』

カメラに写った人物は過激派攘夷浪士高杉晋助と幕臣を肩に担いだ坂田銀時だった。

「ぎっ、銀さん!?」
「しばらく見ないと思ったら何やってるアルかあの馬鹿!!」

二人は「万事屋 銀ちゃん」を飛び出した。









しかし二人が着いた時はマスコミや警察やらでごった返していた。中には真撰組も。
騒音と共に高杉と銀時の前に戦艦が近づいてきた。相手が高杉ということだけあり迂闊に手を出さなかった結果がこれである。
皆がざわつく中、警察やらの制止もむなしく二人は戦艦へと移っていった。

先に言葉を発したのは新八だった。

「銀さん! 何やってんですか! 戻ってきてください!!」
「銀ちゃん!」

二人の声が聞こえるのか聞こえないのか銀時は一度だけ振り替えり戦艦へと入っていった。
その時、高杉は公衆の人々に向かい、怪しく微笑んで煙管を吹かして銀時に続き戦艦へと入っていった。









目の前には万事屋をやっていた頃には見たこともないような絢爛豪華な食事が並んでいた。そして食事を囲むようにして鬼兵隊メンバーと坂田銀時が座っていた。
皆が食事をつまむなか河上万斉が手を止め銀時に話しかけた。

「まさか主が、こちらに来るとは思っていなかったでござる……坂田銀時、いや白夜叉殿」
「オイオイ、止めてくれよ〜、白夜叉だったのは昔の話だっての」
「でも、白夜叉ってかっこいいッス!」
「ハイハイ、物食べたまま喋らない喋らない」

次々と囃し立てるやつらを尻目に高杉に視線を送る。高杉も微かに笑っていた。

「良いじゃねぇか銀時ィ。ついでに白夜叉に戻ったってよォ」
「……そうだな、戻ってもいいかもな」








しばらくして食事を食べ終わり、皆がばらばらに散った。銀時は高杉の後についていく。

「なぁ、最後に叫んでたガキ二人はテメェの連れか?」
「おう。懐かしきメンバー、みたいな?」
「くくっ…今は昔ってかァ。ソイツラもまとめて面倒見てやったって良かったんだぜ?」
「いやいや、良いって。丁寧に、断らせて貰いますー」

──こんな所に連れてきちまったらアイツラが可哀想だしな。

「つか血生ぐせぇ。部屋入ったら風呂貸せ」
「勝手にしろ。そうかァ? 血の臭いなんかしねェがな」
「慣れすぎて鼻が馬鹿になってんだよ」
「……かもな。時期に銀時も馬鹿にならァ」
「ははっ、そうだな」

戯れ言をかわすうちに二人は部屋につき、部屋に入った。
高杉の部屋はがらんとしていて、無駄な物がないのではないかと思ってしまう。それどころか、唯一の無駄な物が自分なのではないかと、錯覚してしまうほどだ。
高杉は備え付けであろうソファーに腰をおろし、刀の手入れを始める。銀時は真っ直ぐ風呂場えと向かった。
ここの風呂場は広い。

「バレエできそう。やらないけどね」

銀さん所の風呂場何個分だこりゃ。

ザアザアと降り注ぐ少し集めのシャワーが血を落としていく。──流れる水はすぐに真っ赤になってしまった。今頃、新八と神楽は何をしてるんだろう。戦艦に乗る前、アイツラの声が聞こえた。必死に俺を呼んでいた。けれども、高杉にアイツラが大切だったと、大切だと気づかれちゃいけない。

「そういや、何でこんな事になったんだっけ……」

──ああ、真撰組が高杉の潜伏先をわったから張り込んでくれって、言ってきたんだっけ。そんで、高杉に見つかっちゃって拉致されたんだ。
で、目ぇ覚ましたら高杉の部屋に手錠かけられて……。でも高杉寝てたんだよな。んで、抜け出そうと必死になってたら「松陽先生」って聞こえたんだ。その呟きがあの部屋とマッチして、なんか共に居てやりてぇってなっちゃったんだよね……。

「一時のテンションに身を任せるもんじゃねぇな」

──不思議と後悔はねぇんだよな…これが。

キュッ、と強めにノズルをひねり風呂を出た。頭、体をあらかた拭いて置いてあった浴衣を身に纏った。

「高杉、風呂サンキュー……高杉?」

いつもは無愛想なりに返事が帰ってくるのに。
ガシガシと頭を拭きながら部屋を見て回ったが居なかった。

「また、甲板にいんのかな?」

足を進め、甲板につくとやはりそこに高杉は居た。髪を風に煽らせながら煙管をふかしている。

「高杉、部屋に居ねぇからビビったじゃんか」

──コイツといてわかった事、案外寂しがり屋な事、人と居るのは嫌いじゃない事。ま、本人は気づいてないみたいだけど。──いや、気づきたくないのかも知れない。

「これから、どうすんだよ」

高杉の来ている大きめの羽織の中に身を滑り込ませる。すると手が腰に回った。

──ほら、人と居るのは嫌いじゃないじゃん。

「そうさなァ……どでかい花火を地球にいる将軍サマに差し上げるかァ」

──地球。新八や神楽がいる、故郷(ホシ)、もう二度と「万事屋 銀ちゃん」として地を踏むことはない。

「ああ、そりゃ良いかもな……」

もう、こいつに松陽先生を無くした時のようなことは体験させたくない。俺だけは、こいつから離れないでいてやりたいと思う。

俺も、高杉晋助という男のカリスマ性についに引かれてしまったのだ。

──How will you love he?
(あなたはどのように彼を愛しますか?)

      −END−

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