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僕らと卵
僕らは卵でできているけど
割ったたくさんの卵の殻
彼らはどこへ行くのだろう


僕らはボールを持っていて
割れた殻を
一つ二つ、ボールに込めていく

それは重かったり軽かったり
形も大きさもバラバラで

たまにジャマになる
けど、絶対に捨てやしないんだ

ボールの中は
カラカラ、カラカラ
日に透かした風船みたい

大事に取っておきたいけど
ほっとくとボールは固まってしまうから

たまに構ってやるんだ

振り回したり
転がしたり
投げつけることだって、あるかもしれない

けど、ぶつけた分だけ
叩いた分だけ
中の殻は砕けてゆく

崩れたかけらは砂になり
ボールの中に降り積もる


僕らはいっぱいになったボールに満足するけど
溜まった殻
時が経つと、ボールは弾けちゃう

それはとても寂しくて
たまに痛かったりする
けど、けして悲しいことじゃなくて

時間をかけた砂は
七色にきらめいて
僕らの果てしない空の中

僕らの卵の梯子になるんだ





あきゅろす。
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