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白雪姫
パイを焼こう
甘い甘いパイを焼こう

のどかな昼下がり
テレビの声につられて
唐突に始めたお菓子作り
用意するのは

真っ赤なりんご
さらさの小麦粉
透き通る砂糖達

慣れた手つきで生地をこねる
いつも、と呼んでいた
あの時のように

あの時に閉じこめたのは
白い白い吐息でした
赤い赤い体温でした
甘い甘い想いでした

あの時に崩れたのは
焼き菓子のような
脆く儚い願いでした

誰かのために焼き上げたパイは
誰の物でもありませんでした
誰の物にはなりえませんでした

手に残ったのは
真っ白な皿一枚だけでした


パイを焼こう
あの時のように
甘い甘いパイを焼こう

白い皿に一切れだけのせて

甘い甘いパイを



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