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air
浅い意識
深く沈み込んだ蒼に映った
波紋の記憶
藍の渦へと上昇する私の身体に
手を伸ばすことなど、できたのだろうか

「御伽噺の終わりはいつも悲恋と決まっているんだね」

寂しそうな横顔を思い出す

それでもどこかおかしそうに笑って、私に寄りかかった君
あの時はただ曖昧に頷くことしかできなかったけれど、それが独白めいた告白なのだと気付いたのはずっと後のことだった

水に身を任せながら思う

あの頃に戻りたいなんて都合の良いことは思わないけれど、せめてもっと別の道はなかったのだろうか

(それこそ都合の良い話)

道を選んだのは君で、ついて行くと決めたのは私だったのに

コポコポコポ…

耳をくすぐる微かな音
白い粒子の光は穏やかで、細かい気泡を吐き出していく
深くハラハラと落ちていき、一向に底が見えない

その深さに安堵して目を閉じる

コポコポコポ…
コポコポコポ…

声になれなかった泡はどこまでも沈んだ



あきゅろす。
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