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僕らは空で泳いでる
いつもと同じ道の途中
ふと気づいた空の色
何気なく見上げたはずだったのに

いつのまにか
目が離せなくなったんだ
とどきそうで、とどかなかったその色

何故だろう
笑い出したくなるくらい切なくなったんだ


その空は高くて、遠くて
でもとても低く、身近に思えた
流れている雲が作る影が
不思議と可笑しかったよ


夢に見るほど欲しがったお月さま
たとえ手にはいることはないと教えられても
どうしても欲しかった

隣に立っていたあの子も同じ様子で
その子はお日さまを欲しがった

右隣の子も
後ろの子も
いつもついて歩いた目の前の子も

みんなみんな欲しがったんだ
みんなそんなものが欲しかったんだ



僕らは一生懸命に泥をすくって
水底にあるはずのものを探してる
空を映した水は青くて
まるで空の中にいるみたいだ


ある人が僕達に尋ねた

「何を探しているのですか?」

誰も笑って答えやしない

「何を欲しがっているのですか?」

みんな口をそろえて
「あれが欲しいのです」
そう言って指差した
僕もそうだった

その人は去り際に言う
「君達は空を泳いでいるのですね」

意味がわからない
みんなキョトンとして、また水底をさらった
もちろん僕もだ


いくら考えても理解できなかった
今もわからない


けれど羽ばたく鳥を見て思ったのは
僕らは飛んでるつもりだった
それだけ


結局あの一言は僕の頭を痛くしただけで
本当の意味なんてあったのかなとさえ思う


でも何となく、忘れられなかった




僕らは鳥のふりした魚で
今も泳いでいるのかもしれない



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