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僕らは卵でできている
ある日、夢をみた
真っ白な箱に閉じ込められている夢だ
箱の中はとても狭く
僕は手足を丸めなきゃいけなかった
けれど、とても居心地が良い


よくテレビとかで言ってる、胎児の記憶ってやつかな
そう目が覚めてから考えた
たしかに居心地はよかった
けど、ひどく不安もあったんだ


脆い足場にたっているような
とても繊細なガラス玉に入っているような
そんな感覚がした
何故だか懐かしかった


その夢はたまに僕を閉じこめる
ある時は眠るときに
ある時は風呂なかで
ある時は誰かと戯れるときに


そして必ず、泣きたくなるんだ


僕は思う
僕らは卵でできているんじゃないかって
よく人は鳥に例える
羽ばたけ、とか
巣立つ、とか
言うけれど
ほんとうは生まれてすら
いないのかもしれない


僕らは卵を持っていて
それは一つじゃなくて
それらがそれぞれ孵化する
そのたびに、僕は生まれるんだ


ぶつかって、暖めて
落ちて、拾って
やがてひび割れてゆくように
ぐしゃぐしゃになるように


僕らは僕を生むために生まれるんだ




あきゅろす。
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