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顔面真っ白
 



  「こんにちは。新選組鬼
  の副長の土方さん。こん
  な所でお会いするとは偶
  然ですね。」

  「食事中だ。帰れ。」



  会って早々帰れとは毎度
  の事酷い言い様だ。しか
  しこちとら休む時間も削
  ってやっとこさ見つけた
  餌を見す見す見逃す訳に
  はいかないんで。素直に
  「はい、分かりました。
  」なんて言って去る訳が
  ない。



  「…ところで、その白い
  物体は何ですか?」

  「白い物体じゃねぇ。土
  方スペシャルだ。」



  土方スペシャル。どこか
  らどう見ても白い物体に
  しか見えない。土方さん
  の頭は大丈夫だろうか。



  「何見てんだよ。あげね
  ぇぞ。」

  「安心してください。そ
  んな物たとえ地球が滅亡
  しようと食べようとは思
  わないので。」

  「失礼だぞてめぇ!…あ
  、さては本当は食べたい
  のに俺に貸しを作りたく
  ないから遠慮してんだろ
  ?」


  何を言っているんだろう
  この人は。本当に頭が可
  笑しくなってしまったん
  じゃないか。だとしたら
  早く病院に連れていかな
  くては。あぁでも此処か
  らは遠いな。タクシーを
  手配しなくてはならない
  距離だ。非常に面倒くさ
  い。ならばここからぶん
  投げて連れていこうか。



  「そんなの気にすんな。
  俺はそこまで酷い男じゃ
  ねぇ。ほれ。」



  とん、と私の前に白い物
  体を置いて食べるよう促
  す。プチンと私の中で何
  かが切れる音がした。



  「…土方さん。」

  「あ?…ぼふぁっ!!」


  カシャッ。


  「生憎私には犬の餌を食
  べる趣味はありませんの
  で。失礼します。」

  「待てぇぇぇ!!てめぇ
  今何を撮ったぁぁ!?」

  「良い写真が撮れました
  。ありがとうございます
  。」



  顔中真っ白になった土方
  さんが後ろで何か叫んで
  いるが、すべて無視して
  店を後にした。



  顔面真っ白
(この写真は記者の人にでもあげよう)



 


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あきゅろす。
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