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しかしそんな夕凪とは裏腹に、会話は雷波の話題で妙な盛り上がりを見せる。

「やだぁ。だって雷波ってHの時とかAV男優みたいに囁きそうじゃない?」

ドッと湧く笑い声。

……なんだそれ。

呆然としている夕凪を置いてきぼりに、雷波の真似……と称した悪ふざけが始まった。

「すげえグチョグチョ……気持ちいー?」
「あん‥雷波……ッ、言わないでぇ」
「好きなんだろ? こうされるのが」
「ああん優しくしてぇん」

「キャ――、もぅサイテー!」

ホントにサイテー…

夕凪はゴホン…とひとつ咳払いで一同を見渡すと、

「怒るよ?」

口元だけに作り笑いを浮かべ、おイタの過ぎた連中を黙らせてやった。


「まぁ…雷波の話はともかく、」

林也とロミオが心地悪そうに頬を掻く。

「健全な高校男児が、女の色気に興味がないっていうのは……ちょっと問題じゃねえの?」
「佐智子の色気が云々ていうのはナシにしてな」
「どーゆう意味よ」

佐智子がギロッと睨みをきかせたが、林也はお構いなしに話を続ける。

「夕凪、好きなヤツとかいねえの?」

ストレートな質問に、今度は佐智子の表情があからさまな不安を映した。
だが、夕凪はキョトン…とした顔で首を横に振る。

「……だよな」

呆れ顔の林也、そしてホッと胸を撫で下ろす佐智子。

「夕凪ってさ、あんだけ選びたい放題なのに何で彼女いねーの?」

確かに夕凪に想いを寄せる者は数多い。
だが、夕凪がこれまでその想いに応えたことはなかった。

「理想が高い……とか」

ビシッと人差し指を突き出して、林也が探偵よろしく推理する。

「それだぁ!!!!」

そんな林也の顔をポケーっと眺めていた夕凪の横で、突然食い付くように声を上げたのは同じくクラスメイトの森田真奈美(モリタ マナミ)だ。
一同はビクッと肩を揺らして真奈美を見た。

「マナ、夕凪の好みのタイプ知ってるよ」

思わせぶりに微笑み、

「御堂美冴子だよね」

夕凪の肩に肘をかけながら真奈美が堂々と言い切った。


えっ、えぇ―――…‥

何故か真奈美が自身満々なことにも驚いたが、それよりもビックリしたのは出てきた名前の方だ。心臓がドキンと跳ねる。

……そりゃまあ、嫌いじゃないけど、
っつーか、母さんだし!


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