もう終わりは見えているのに…
どうしてだって?
馬鹿な奴。お前の気持ちが変わるように。お前の心が変わるように、俺だって変わるってことにどうして気づかない?
こんなにも、全身で"愛してる"って伝えてるのに。
「んっ…はぁ……アルバロ?」
考えごとに夢中になりすぎて、指が止まったらしい。もどかしそうにルルが俺の名前を呼んで首を少し傾げた。
その拍子にぽろりとその潤んだ瞳から雫が頬に流れる。
「…なんだ?」
折角だから焦らしてやろう。すでにぐちゅぐちゅと音を立てるそこは俺の人差し指と中指を簡単に咥えこんでいる。
その指はそのままに、流れた雫を舌で舐める。
「ぁっ…ん、もっと…欲しい」
俺の調教の成果に自然と口許が歪む。恥じらいがちに俺の背に腕をまわしてくるのも上出来だ。
「ぁうっ!!…やぁ、んぁ…ぅん!!」
ぐちゅっと指を引き抜き、先ほどから開きっぱなしになっている口に濡れた指を押し入れ、ルルの口内まで蹂躙する。
そんな傲慢な行為にも感じるのか、背中にギュッと抱きついてきた。
「はっ…こんなことで感じてるのか?……爪を立ててつねったりするなよ」
「ふ…んんっ、ぅ…ん――!!」
「…っ!!」
ルルが俺の指に夢中になっているのを見計らって、グイッと俺は熱く立ち上がった自身を根元まで一気に挿入した。
きつく俺を締め付ける中がキツイことと、口に入れていた指に鋭い痛みで俺は思わず声を漏らした。
「…ずいぶん暴力的だな。飼い犬に噛みつかれる、いや…飼い犬に噛みつくなんてな」
「ぅ…はぁ、だって…アルバロが急に…あんっ!!あ…ふぁん、はぁ…あん!!」
こんな興奮してるときにいいわけなんて聞きたくない。俺はルルの言葉を拒んで腰を動かし始めた。
引き抜いた指には誰が見てもわかる歯形と、そこから流れる唾液と混ざった薄赤色の血液。
しばらくはこれで楽しめそうだ。
見せつけるように指を舐めあげ、そのまま口唇を合わせて互いの体液が混ざったものを流し込む。
そのまま深く舌を絡めて柔らかな口内を貪り、俺は最奥まで一気に腰を進めた。
「んっ…ふっ、ん…!!」
ぎゅうっと収縮するナカは本当に俺好みで、ためらいもなく俺は自らの欲望を吐きだした。
――――――
―――
―
「…ん、はぁ……指、ごめんなさい」
名残惜しいが先ほどの行為を考えるとルルの身体が辛いだろう。そう考えて楔をはずすがルルが漏らす吐息にまた熱が押し寄せてくる。
その感情をそうにか押しとどめて、ルルの言葉にいつもの調子で答えてやる。
「…それで?」
「…最近、殺すって言わないのね。どうして?」
「………は?」
どうして身体をつなげた後にそんな考えになるのだろうか。しかも、それと俺の指にはなんの関係もない。
"殺す"って言わない?
言わなくたって殺している。
「前はちょっと機嫌を損ねただけで殺すって言ったのに、最近言わないでしょ」
そういえば、そうかもしれない。自分では気付かなかったが確かにここ最近は口にしていなかった。それは…
お前にたらしこまれたから。
「お前こそ、最近ずいぶんおとなしく抱かれるな」
「…そう?どうしてかわかんない?」
本当の気持ちなんていまさら言えるはずもなく話題をそらす。すると、何を思ったのかルルはうつぶせの体勢から横に座る俺を見上げ、俺の手に触れた。
「…ん、ふっ…痛い?」
何も言わない俺を気にすることもなく、自分が噛んだ傷に口唇を寄せてくる。
乾いていた指が再び唾液に濡れる。
一瞬、俺の指をくわえるルルと視線が交わった。
指に感じる生温かさと、その目線に俺はずいぶん深いところまで堕ちたことを思い知るのだった。
「…ルル」
小さな体を組み敷きながらいつの間にか主導権が変わっていたことには気づいたが、今はそんなことどうでもいい。
俺を楽しませてくれる限りは…
もう終わりは見えているのに…
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