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その言葉は
  
 
『好き』






とっても特別なこの言葉は、誰でも使える魔法の言葉。


とっておきの、幸せを呼ぶおまじない。







あなたに会うまでは、そう、思っていたの。

『好き』という言葉は誰にとっても特別だって。



でも、それは間違っていた。

あなたが告げる『好き』の言葉は…

ただ、私を傷つけるための道具だった。



「ルル、好きだ…」

「んっ、あ、っはん!!」


くちゅくちゅという粘りのある水音が、ただでさえ昂ぶった神経を麻痺させる。

その音を辿るとたどり着くのは彼の繊細な指。

その指は今、私のなかに深く差し入れられている。


「うそ、っ…言わないで…ん、あっ…」

「お前も大概に頑固だな。何度言えばわかる?俺は本気だ……ここか」

「あぁっ!!や…だぁ、んっ、アルバロっ」


くいっと曲げられた指は全くずれることなく、私の弱いところを責め立てる。

どろりとあふれる蜜にアルバロが喉の奥でくくっと笑った。


「すごい濡れてるぞ?……ん、甘いな…」

「だめ、舐めちゃ、アルバロっ…」


ぐちゅっと指を抜いたアルバロは、濡れて光るその指に自らの舌を這わせた。

見せつけるように味わう彼に、その行為を止めてほしくて私は力の入らない手でアルバロの手に触れる。


「なんだ、お前も欲しいのか?」

「違っ、んんっ…ぁ、ふゎ…」


どうしたらそんな発想になるのか、信じられない発言に必死で抵抗をする。

…が、口に入れられたのは彼の指で無く、彼の舌。

深いキスで彼の唾液が流し込まれる。


「好きだって言えよ、ルル」

「…アルバロ」


至近距離で囁かれる彼の言葉は、ずるりと私の傷口から心の奥へといとも簡単に侵入する。

言いたくないのに、言ったらいけないのに。


「好きよ、アルバロ…」

「なにがあっても、お前を守るよ、ルル」


その言葉が見せてくれる彼の表情に、私はいつだって負けてしまう。

嘘なのに。

彼の言葉は嘘なのに。


私の本当はどこに行くのだろう。






  私を求める彼の胸で、
     私は涙を隠した


 


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あきゅろす。
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