家族となって
心臓がばくばくと音を立てている。やっと変身がコントロールできるようになったのに、気を緩めるとちびになってしまいそうだ。
それはまずい。
やっと、こいつを口説き落としたのだから。
「なぁ、俺どこも変じゃねーか?」
きっちり整えた髪と着なれない正装に違和感を感じる。
「もう…どこも変じゃないってば。ラギにそんなに緊張されたら、私までどきどきしてきちゃった」
「緊張するに決まってるだろーが…」
そう、ルルの両親に会うのだから緊張しないわけがない。
すでに今まで何度も恋人として会っているのだけれど、今回は違う。
「だから、きっちり挨拶とかしなくて大丈夫って言ったのに。お願いだらから、『お嬢さんを僕にください!!』とか言わないでね?」
「は?馬鹿か。それを言いに来たんだろうが」
ルルは改まってする必要はないと渋ったけれど、男としてけじめをつけたいと、今日は結婚の挨拶に行くのだ。
ちゃんとセリフも考えてあるし、シュミレーションもばっちりだ。
「うー…じゃあ、念のために私が最終チェックするわ!!」
「は?そういうのって、先に聞いたら面白くねーんじゃ…」
挨拶なんだからルルじゃなくてルルの両親のために言う言葉だけれど、ルルに向けてとも言えないこともない。
「…だって、お母さんたちの前でいきなり聞いたらびっくりしちゃうかもしれないわ。お願い、ラギ。私だけに聞かせて?」
少し上目遣いで言うルルは、どんどん俺の扱いがうまくなっているような気がする。
「っ、…わ、わかったよ。あー…んんっ!!
今日は大切なお話がありましてお時間を頂きました。
今までルルさんとお付き合いさせていただいてきましたが、これからも、ずっと傍に居てほしいと思います。
必ず幸せにして、彼女を守っていきます。
ルルさんと結婚させてください。
…って、ルルに言うのは照れんな」
俺の言葉に何の反応も示さないルルに、恥ずかしくなって目をそらす。
すると、我に返ったようにルルの顔は真っ赤になり、おどおどとし始めた。
「う…あ、あの…うん。やっぱり先に聞いておいてよかったかも…びっくりしちゃった。まさかそんなふうに言ってくれるなんて、すっごく嬉しい!!私もラギのこと絶対に幸せにするからね!!」
「お、おう。って、泣くなよ!!親御さんに会うんだぞ!!俺が泣かせたみたいじゃねーか…」
瞳を潤ませるルルに俺はどうしていいかわからずに、その身体をギュッと抱きしめた。
絶対に、永遠に守り続ける。
そう心に誓って。
Happy Wedding!!
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