求めていたのは
今までより一緒にいられる時間は増えたけど、学生時代のような自由な時間はお互い減ってしまった。
だから、もっと、もっと…あなたの気持ちを知りたいの。
「エースートっ!!」
「っ!!…ルル、どうかしましたか?」
お風呂からあがってリビングに行くと、エストはこちらに背を向け、テーブルでお仕事の本を読んでいた。
私が来たのにも気づいてくれないのが寂しくて、後ろから手を回して彼の頭を抱き締めてみる。
一瞬びっくりしたあとに、回した腕に彼の手がそっと添えられた。
「お仕事、大変ね」
「僕よりルルの方が大変でしょう。朝も早いし、子供が相手ですから」
「んー…でも楽しいもの」
研究職についたエストと学校の先生になった私。
朝型の私と夜型のエスト。
仕事に慣れてきた今、そのすれ違いが気になってしまう。
「最近エストは遅くまでお仕事の勉強ね。ちょっと寂しいわ……今日もまだ、眠れないの?」
「…い、いえ。こんなのは別にいつだって構いません。あの…、ルル?」
私が聞くと、なぜかエストは不自然に焦って本を閉じ、振り向いた。
「それは、その…そういう誘いだと受け取ってもいいんですか?」
「…え?……あっ!!う、えっと、あの…」
エストの言葉に自分が大胆な発言をしたことに気がついた。
私としては全く何気ない会話だったけれど、新婚夫婦の間ではお誘いに十分聞こえるだろう。
恥ずかしくて、顔が火照る。
「あの、そういう意味じゃなかったの!!気にしないで、ほら、あの…お風呂入ってきたら?」
私はどうにかエストに答えて、寝室に逃げ込もうと彼の肩に置いていた手を離そうとした。
「エ、エスト…?」
しかし、エストは私の手を掴んで離さなかった。
「だめ、ですか?その…僕としては最近なかったし、ルルに触れたいのですが」
恥ずかしそうに顔を染めて、それでも私を求めるエストになんだか胸が締めつけられる。
「い…嫌じゃないわ……えっ!!……んっ、ぁ…」
嫌なんて思うはずがない。でも、恥ずかしくてぽつりと答えると、少し乱暴にエストの腕に引き寄せられて、そっと触れた彼の唇。
触れただけの軽いキスですぐに唇は離れたのに、エストはそのまま何も言わずに立ち上げると私の腕をつかんだまま寝室へと進んでいく。
「エ…エスト?」
「すみません、あまり、余裕がないんです」
気付いた時にはベッドの上で、エストが私を押し倒していた。
いつもは私を安心させるように優しく触れる手も、今は性急に私のパジャマのボタンにかかっている。
「あ…んっ、エスト…っ、ふ…」
「本当は、ずっと、もっと…僕はあなたに触れていたんですよ、ルル」
一気に快楽に溶かされた私に、耳元でエストが呟いたけれど、返事なんてする余裕がなくて、今度は私からその唇をふさいだ。
求めていたのはどちらも一緒
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