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自棄

企画メルトダウン

『自棄』







「もうっ!!ラギなんてしらないっ!!」


「は…?おいっ、ちょっと待てよ!!…ルルっ!!」




―――――
―――




楽しみにしていた日曜日。ラギとのデート。


…だったのに。


はしゃぎつかれて広場のカフェに入り、ちょっとお手洗いにたった時だった。

私が座っていた席に知らない女性が座っていた。


「…連れが来たからどけよ」


「あら、かわいらしいお連れさんね。残念だわ、じゃあね」


その女性は私にニッコリと笑いかけて去って言った。


「…今の人、誰?」


「知らねー。急に話しかけていたんだよ」


私はなぜか女性が座っていた席に座りたくなくて、テーブルのそばに立ったままラギに尋ねた。

しかし返ってきた言葉は気まずそうな一言。


「なんで私の席に座らせたの?一人じゃないって言わなかったの?」


「言ったよ、連れがいるって」


『連れ』


その言葉に私はまともに取り合おうとしないラギに怒りが爆発した。


「今まで言わなかったけど、どうしてラギはいつも私の事を『彼女』って言ってくれないの?好き、とか一緒にいたい、とか、出掛けよう、とか…いっつも私からだし!!」


「お…お前、とりあえず落ち着けよ」


急に怒りだした私にラギはびっくりして私をなだめようとした。

そんなラギの態度も私の感情を高めた。



「もうっ!!ラギなんてしらないっ!!」


「は…?おいっ、ちょっと待てよ!!…ルル!!」


捨て台詞を残してカフェを飛び出た私を、焦ったようにラギが追いかけてくる。

私は入り組んだ路地に入り、必死で走ったけれどそんな小細工はラギには関係なかったらしく、直ぐに腕を掴まれた。


「…なんで逃げんだよ」


イラついたラギの声に少し怖さを感じたけれど、私だって怒っている。


「私の勝手でしょ…私はラギにとって『彼女』じゃないんだからっ!!」


「だからっ!!…そんな事は別に言ってないだろ」


「じゃあ不安にさせないでよ!!ラギなんて嫌いっ、離してよ!!」


お互いに大きな声で言いあって、私が抵抗しようとした途端に、ラギはぎゅうっと痛いくらいに私を抱きしめた。


「…くそっ、こーなれば自棄だ!!言えばいーんだな?」


ラギは私を抱きしめたそのままの姿勢でため息をついた。


「…好きだよ。お前の事。マジで愛してんだからな?…俺はこーゆー事、苦手なんだよ。なのにこんな事言わせやがって…」


頬に感じるラギの胸からはドキドキと心臓の音が聞こえる。


「…本当に、私のこと好き?」


「好きだよ」


「大好き?」


「…だ、大好きだよ」


「ずっと、一緒にいてくれる?」


「あぁ、一生俺が守ってやる」


他人から見たら馬鹿みたいなやりとりに、私の頬も火照ってくる。


「…嫌いって言ってごめんなさい」


真っ赤になっているだろう顔を隠そうと、私もラギを抱きしめた。


    『自棄』




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