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序章
 
『ようこそ、未来からの訪問者たち。ここは君たちが居るはずのない世界だ』







――目に飛び込んできたのは、見たことのない風景だった。

――350年前のこの世界に、一体何が起こっているのだろう…










「…そろそろ着替えはすんだかい?男性諸君、早くしないとルルの可愛い姿を僕が独り占めしてしまうよ」


私たちが過去の世界で最初にしたこと。それはこちらの世界の服に着替えることだった。私たちの着ていたミルス・クレアの制服は、こちらではすごく目立っていた。


「えっ!!ソロ、もうちょっと待って!!」


廊下に響いたソロの言葉にざわざわとみんなが部屋から出ていく雰囲気がして、急いで私は薄いマントを羽織るとみんなの集まる談話室へ向かった。


「遅くなってごめんなさいっ!!」


ドアを開くと、ラギ、エスト、ノエルとまず目があった。


「お、おまえ!!なんつーかっこしてんだよ!!女なら慎みを持てっ!!」

「ソロの服装から多少は覚悟していましたが…あなたのその格好には呆れて何も言えません」

「ル、ルルル、ルル!!君のその服装は僕もどうかと思うぞ!!」


しかし、3人はなぜかすぐに私から視線をそらしてしまう。


「え?私の格好、どこか変かな?」


用意されていた服はどれも今着ているものと変わりがなかったから、別におかしくないはずだけど。


「…?別に変じゃないよ。よく似合ってるし、可愛らしいよ」

「これは…美しいな。目を離すことが惜しいくらいだ」

「うん、驚いた。髪を下ろしているせいかな?すごく大人びていて綺麗だね」


一方、ソロ、ビラール、ユリウスは対照的にこちらが照れてしまうような言葉を送ってくれた。


「えへへ、ありがとう!!ちょっと恥ずかしいけど、こんな格好ここでしかできないもの!!…あれ、アルバロは?」


頬が赤くなるのを誤魔化してぐるりと談話室を見回すけれど、アルバロだけ姿が見えない。

黒髪のこととか、消えてしまったタリスマンのこととか、聞きたいことは山ほどあるのに。


「彼はまだ着替えをしているみたいだね。彼が来るまで部屋の中を冒険したら?」

「そうなの?アルバロの事だからこっちの服装に合わせて何か楽しいことを考えているのかしら?…でも、冒険って…」


確かに談話室は広いけれど、冒険っていう言い方は無いだろう。それでも聞きたいこと、知りたいことはたくさんある。

ソロは答えてくれる気は無いらしく、既にソファーで瞳を閉じている。

今一番気になるのは…


「向こうの世界はどうなってるのかな?」
「どうして目を逸らされちゃったのかな?」
「どうしてここに来たのかな?」

 


あきゅろす。
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