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Pure《Julius》






〜未来へのプロローグ〜













「えへへ、なんだか緊張しちゃう」


ずっと夢見ていた幸せな時間。

大好きな人と一生に一度の


結婚式


純白の裾の長いドレスに、キラキラと輝くティアラ。

華奢なハイヒールで歩く練習もこの日のため。

ブーケの花は色鮮やかなデイジー。


「本当にきれいよ、ルル」


忙しいなか駆けつけてくれたアミィが目を細めて祝福してくれる。

なんだか幸せ過ぎてくすぐったい。


「あれ…アミィ?久しぶりだね」


コンコン、というノックの後に返事も待たずに白のタキシードに身を包んだユリウスがドアを開けた。


「こんにちは、ユリウスさん。この度はおめでとうございます。じゃあまた後でね、ルル」


そう言ってアミィが去ってしまい、二人きりになると、どうしてかいつもみたいに話せなくなってしまう。


「その…すごく綺麗だ。他の人に見せたくないな、俺だけのものにしたい。」


ユリウスは入り口に立ち尽くして、とろけるような笑みを浮かべて私を見ている。


「あ…あんまり見ないで?恥ずかしいから。ユリウスもすごくかっこいいよ」



ユリウスの言葉はいつも率直で私の方が照れてしまう。



「だって、あんまり綺麗だから。ルルはいつも可愛いけど、今日は言葉にできない位に可愛い」


そう言って私に近づくと、大きな手のひらがそっと頬を包む。


「…幸せ過ぎて、実感わかないな。ルルとこうしていられるなんて」


「うん…緊張して転んじゃったらどうしよう」


「大丈夫、ルルが転ぶ前に支えるから」


じゃあ大丈夫。ユリウスが隣に居てくれるなら、大丈夫。


ミルス・クレアで出会ってからずっと、よく自分の世界に入ったりはするけれど…いつだってユリウスは私を支えてくれた。


「…好きだよ、ルル」


「うん…私も、大好き」


口に出したはいいけれど、とっても照れくさくてユリウスの顔を直視できない。


コンコン…


躊躇いがちなノックの後、お時間です、と声がかかった。


「行こう、ルル。大丈夫かい、立てる?」


緊張でがちがちの私をユリウスがそっと手をとって支えてくれる。


「ねぇ、ユリウス…さっき"俺だけのものにしたい"っていったでしょ?」


バージンロードへと続く扉の前で、私はユリウスに囁いた。


「今日からは、ずうっと…」















   私はあなただけのもの




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あきゅろす。
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