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ある未来《Bilal》

はぁってはいた息が真っ白ですっごくさむい。

でもお顔いがいはあったかいの。

だって、お父様の上着の中でだっこされているから。


「寒くないか?」


「はいお父様!!」


お父様が一歩あるくたびに、さくさくと乾いた音がする。


「ったく、お前は誰に似たんだろうな?夜の砂漠を見てみたいだなんてわがまま言って」


そう、目の前にはなんにもない。ぐるっと首をまわしてもなぁんにも見えない。ただまんまるなお月さまの明かりに照らされた砂漠が広がっているの。

それは昼間とは全然ちがくて、すごくきれい。ただ夜の砂漠は危ないし寒いからお母様は見に行くのをゆるしてくれなかった。


「ねぇ、お父様。"うみ"っていうものもこの砂漠みたいにきれいなの?」


でも、わたしはどうしても夜の砂漠が見たかった。それはたくさんの水があるっていう"うみ"ににているって聞いたから。ファランバルドにはない"うみ"を。私はどうしてもみてみたかった。
だからお父様に何度もお願いして、今夜やっとつれてきてもらった。…お母様にはないしょで。


「…そうだな、きれいだよ。お前が大きくなったらきっと見られるさ。…さて、宮へ帰るぞ。ルルにばれたら大変だからな」


「はい、お父様」


水の少ないこの国を憂えるお父様。いつかそのお手伝いができるように、と。私は願った。


   ある未来

 
 

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あきゅろす。
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