我慢はしてる《Julius》
ユリウスの突拍子もない発言にもだいぶ馴れたけど、今日はいつも以上に意味がわからなかった。
「…うん、やっぱりダメみたいだ。我慢できない」
ユリウスは真剣な顔で私を見ながら、なんだか自分でなにかに納得した。今日は週末、日曜日。広場のカフェテリアはミルス・クレアの制服を着た生徒たちで賑わっている。
「なんのこと?ユリウス」
ユリウスに我慢してほしいと思うことが多すぎてどれのことかが分からない。…さっき買おうとしていた怪しげな魔導書がまだ諦められなのだろうか。それとも、プリンかチョコレート、どちらのパフェにしようか悩んで両方頼もうとしていたのを、プリンだけでやめさせたことだろうか。
そんなことをぼーっと考えていたら、いつの間にかユリウスの整った顔が目の前にあった。
「…っ!!」
びっくりしてぎゅっと目をつぶると唇の端をなにか温かいものがかすめていった。
「ユ…ユリウス!!こんなところでなにするの!!」
いきなりの行動に私は自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
「クリームついてた。ルルが人前でこういうことするの嫌がってるのはわかってるんだけど、あんまり可愛くて我慢できなかった……今の顔もすごく可愛いから今度はちゃんとしたキスがしたいんだけど…」
「だ…だめっ!!ぜっったいにダメだからね!!」
「うん、わかった。じゃあ、これで我慢するね?」
はい、あーんして?
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