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長い夢
2
 
 
──キュッ、ダムッ、ダムッ!


「気ぃ引き締めていけよ!」

「「「はいっ!!」」」

 
体育館に入ると、外以上の熱気を感じた。一軍はコンビネーション練習をしているようだ。

彩芽はそうっとベンチまで行き、部室から持ってきたドリンクとタオルを並べる。


「お疲れさま、湊」

「小堀さん!お疲れさまです」


声を掛けてさかくれた小堀にドリ ンクとタオルをセットで渡すと、ありがとうと微笑みながら受け取った。
実は190cm超えなのにその威圧感を感じさせないのは、彼の物腰の柔らかさのなせる技だろう。


「湊からドリンクもらうの久しぶりだな」

「そうですね。今日は百合先輩が生徒会の仕事でいらっしゃらないので、代理です」

「そういえば山城まだ来てなかったな。助かるよ、湊」


山城百合は、3年のマネージャーだ。彩芽が新入部員練習を見ている間、二・三年についているのだが、今日は生徒会で遅れると聞いていたため彩芽が代わりを務めているのだ。



「彩芽ちゃん!俺にもドリンクちょうだい!」


小堀と和やかに話しているところに、森山が割り込んできた。しかもなぜか彩芽の肩に手を回すオプション付き。
それを彩芽は何事もなく払いのける。森山のスキンシップはいつものことだ。


「お疲れさまです。ベンチにあるのでご自由にどーぞ」

「えっ、俺はセルフ!?」


小堀には手渡しだったのに!とやかましいので渋々森山にも手渡したら、とっても良い笑顔でお礼を言った。
そうやって黙って笑ってたらイケメンなのに、という言葉はしまっておいた。

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