[通常モード] [URL送信]
Part.3
 
 穏やかな、風が吹いた。
 人々は、目を覚ます−−目覚めた人々がする事と言えば、顔を洗ったり歯を磨いたり、朝食をとったり。腹を満たせば、子供達は外に遊びに行き、大人は仕事だかへ出かける。
 ああ、なんて平凡な!
『平凡が一番である』どこかでよく聞くこの言葉が、今はまさにぴったりくる。
 もう、この街に虚な人などいない。
 変異は消え、普通の街へとなったのだから。
 もう、この街は、
 もう、この街は、普通の街として歴史を刻んでいくのだろう。

 どこかで、笑い声が聞こえた気がした。それは、相田事務所へと帰る扉を開こうとした時。
 風が、こんなところまで声を運んで来たのだろうか。
 その声はアレンなのか。友達のニックなのか。神父なのか。宿屋の主人なのか。新聞兼牛乳配達のお兄さんか。はたまたは、住人A、B、Cのものか−−特定なんかはできないけど、
 皆笑顔でいてくれたらいい。
 そうして、メルコットは扉を開いた。


←Return.

3/3ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!