奥様は×××
5
そのままソファに押し倒した。
俺の肩を押し返そうとするが細い腕じゃ何の抵抗にもならず、俺はその腕を掴んで彼の頭上で一纏めにした。
キスを止め、奥様の顔を覗き込むと、真っ赤になって少し潤んだ瞳が睨みつけていた。
「てめぇ、盛ってんじゃねぇよ」
「だって梓鶴が冷たいんだもん」
「だもんとか言ってんな!キメェ」
「あー、またそうやって口悪い。三者面談で先生に怒られちゃうだろ」
「うるせぇな!中坊に手ぇだす変態に言われたくねぇ」
「しょうがないじゃん。大好きなんだから」
「恥ずかしい事言ってんな!!まともな生活じゃねぇよ」
「はぁ?ちゃんと仕事してんじゃん。給料だってもらってるし」
「そっちじゃねぇよ」
「あぁ、梓鶴はまだ15歳だもんねぇ。成人してからの方が良かった?」
「ふざけんな。歳、もあっけど、もっと重要な事があんだろ」
「はぁ?何?」
「てめぇなぁ。頭のネジぶっ飛ばしてんじゃねぇよ」
「あー。それねぇ。はいはい」
「会社とかで言ってねぇだろうな」
「言ってないよ。梓鶴が言うなって言ったんじゃん」
「ったりめぇだろ!!!日本じゃ認められてねんだぞ!!こんなことが世間様にバレれみろ!!俺は一生外にでれねぇ…」
真剣に顔を青ざめる梓鶴。面白い。
まぁ俺もバレたら不味いよ。
つーか俺のほうが不味い。
梓鶴は転校とかすれば良いけど、このご時世じゃそう簡単に転職は出来ねぇもん。
今の仕事はこの不況の割りに給料良いしね。
「まぁまぁ、バレてないんだし」
新婚って事は言いましたが。
奥さんは美人って噂が立ってますが。
「本当か?」
「ホントホント」
梓鶴は口悪いし、髪の毛明るくて近所でも学校でも不良って言われる類に属するクセに実は誠実で曲がったことが大嫌い。
ポイ捨てとか許せない質の子。
ポイ捨て現場を見た瞬間、ゴミを手に取り、捨てた奴を地の果てまで追っかけちゃう。
梓鶴は繊細なんだ。だから今の生活が少し不安みたい。それでも俺を取ってくれた事が俺は嬉しくて嬉しくて毎晩のおかずが野菜炒めでも許せちゃうわけ。
な?愛が溢れてんだろ?
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