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奥様は×××
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あーあ…。あーあ…。あーあ…。あーあ…。あーあ…。あー

「ッあ゛ー!!ウゼェッ!!!んなに行きたきゃ1人で行けよ!!!」

じめじめと湿気を撒き散らす勢いで拗ねる俺に、痺れを切らした梓鶴はバンッと机を叩いて怒鳴った。

でもそんなんされても俺は怖くない。
梓鶴に背を向けて膝を抱えた状態でソファーに座りなおす。


こうなった俺は一筋縄ではいかないぜ。


「1人でイクのが嫌なのは梓鶴だろ。一緒が良いって」

「は?んな……って、そっちじゃねぇだろ」

「良いじゃんか!梓鶴が1人でイクのが嫌な様に俺も1人行くのはつまんないから嫌だ」

「はぁ?オッサンがだだこねてんなよ」

「オッサンじゃないし。旦那様だし。一緒に行ってくんないなら、今夜は奥さまのピー(自主規制)にピー――してピー――でピー――「だぁぁッ!!!わぁったよ!行きゃ良いんだろ!!」

俺の卑猥な言葉攻めに梓鶴は顔を赤くして耳をふさぎながら折れた。


何はともあれ梓鶴と花見デートだ!











「…ねえ。本当にそれで行くの?」

「あ?」

さっさと身支度を終えて玄関で梓鶴さんを待っていた俺。
しばらくして梓鶴さんがやって来た訳だが。


そのお顔には大きめのグラサンとマスク。それと頭には深くキャップをがぶっている。もう顔がほぼ見えない。
花粉対策万全のおばさん、あるいはちゃっちい銀行強盗みたいな。

あとものすごく気になるんだけどさ。その片手に握られている物。
掃除に使う、コロコロ(あのテープで絨毯のゴミとかホコリをとるやつ)だよね。
当然だけど、持っていかないよね?



俺が無言でコロコロを見つめていると察したのか梓鶴さんが口を開いた。


「持ってかねーよ」


ですよね!!!
はぁ、と息を吐き出し、全身で安堵した俺に馬鹿じゃねぇのと言い放つ梓鶴。
どうやら帰ってきたときに服に付いた花粉にコロコロするらしい。
それで取れるもんなの?俺花粉症じゃないからわかんないけど。



まあ、何はともあれお花見デートにいざ参りませう。









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