奥様は×××
2
「か〜、センス無ッ。梓鶴はどうすんだよ」
呆れ顔のジョーは吸殻を指ではじき飛ばす。短くなった吸殻がコンクリートの上を転がった。
「あー…点滅、とか?」
「電球?」
アカのアホ丸出しの発言に真面目に答えてしまう真央。
ジョーは付き合ってられん、と2人の会話を丸無視して思い出したように声を出した。
「つーか梓鶴は?」
「あー、アイツは教室だろ。資料とか配られるからオリエンテーションでも出なきゃ駄目だってよ」
アカは答えると再び寝転んだ。
「真面目だなぁ」
入学式も寝坊して、というか寝坊せずに登校していたのは小学校3年生までで終了した真央には梓鶴の規則正しい生活がまるで修行僧のように思えて仕方ない。
(しかも、授業は絶対に受けるし。ありえねー。)
「まぁ、アイツの真面目は根っからだからな」
次のタバコに火をつけ、フーと煙をまた空に舞い上げたジョー。
「だけど、…変わったよな」
口にする事を戸惑いながら様子を伺うように言葉を発したアカ。
真央は眉を寄せる。
「…?」
真央の当惑を察したのかジョーが静かに言った。
「お前が転校して来る前、一時期すっげー荒れてたんだよ」
「え?あの梓鶴が?」
「俺等でも手に負えねー状態だったよな…。まじでアイツ駄目になっちまうかと思ったし」
ジョーは答える変わりにまたフーと煙りを空に吐き出した。
アカは起き上がって伸びをすると言葉を続ける。
「それがさ…、何があったか知らねーけど、突然ピタリと止んで元にもどったんたよ。つーか前より丸くなった。まぁ今の状態ってワケ」
「…へぇ」
ゆらゆら揺れる煙りを眺めながら呟いた真央。
(荒れてる梓鶴……想像出来ねぇ)
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