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奥様は×××







「先輩、三上先輩!!いい加減仕事してくださいよ。部長にチクりますよ!?」

「あー?うーん。するよー。すればいーんでしょー」

もぉー。柴田はうるせーなぁ。

カチャカチャと忙しなくキーボードを叩く後輩社員、柴田の向かいのデスクにうつ伏せて座る俺。
本日、不本意な出勤に伴い超がつく不機嫌ですよ。

なんだよなんだよ。せっかく奥さんの為に有給休暇とろうと思ったのに。
その奥さんに『絶対に仕事行け。行かなきゃ離婚だ』って脅されてさぁ。

あーあ。見たかったなぁ。奥様の晴れ舞台。
そう、今日は奥様である梓鶴チンの高校の入学式なのですよ。


桜舞う高校の門の前で一緒に写真撮りたかった…。
無論、『緑成高校入学式』って書かれた建て看板と一緒に。


新入生入場とかばっちり撮影しようと思って手のひらサイズのビデオカメラ買ったのに!!!最新機種だよ!?タッチひとつで静止画も取れるヤツ!!
結構高かったけどさぁ、梓鶴さんの為に毎日のお昼ごはんをやりくりしてお金貯めたのに。

こうなったら家で使うか。え?何に使うかって??おいおい、昼間っから言わせんなよぉ。



「先輩!!鼻の下伸ばしてないで早く!!ってかまだパソコンも立ち上げてないんですか!?」



っせーな柴田の野郎!!








ざわざわとうるさい教室。
初日だからかやたらと多いプリントを折れないように丁寧にクリアファイルに入れる。



判子や、保護者の署名の要るものはきちんとわかるように分けておいた。
家に帰ったら和也とどうするか話さなきゃならない。

それにしても…。
折角4人そろって同じクラスになったってのにアイツ等初っ端からサボるって。
んとにダメな野郎共だぜ。

ため息を吐いて自分の席から頬杖を付いて外を眺めた。
桜の花びらが風に舞うのを見ると、その量の多さにまるで雪でも降っているかのように思える。

ぼんやりとしていた俺は自分の背後に人が近づいていることに気づかなかった。

「金城くん」

声を掛けられ、ようやく気づく。
しかも、旧姓で呼ばれたことに眉を潜めた。
振り向くとすらっとした長身が穏やかな笑みで俺を見下ろしていた。

見知らぬ顔からして第一中の奴だろう。
俺たち第二中の奴等と違い、第一中は上品な坊ちゃん達が多いから。

振り向いたが何の反応もない俺にそいつはもう一度口を開いた。

「金城くん、だよね?」

「…ちげーよ」

「あれ?」

当惑した表情のそいつにイライラしてスクールバックを掴んで教室を出た。



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あきゅろす。
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