奥様は×××
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あれあれ?梓鶴さん、何故手に取ったエプロンをスクールバックに投げ入れるの?
「何見てんだよ、気持ちわりぃな」
「え?何。いつからエプロンがジャージになったの?」
なんだか破廉恥だよ。エプロンがジャージだなんて。体育?ねぇ、それで体育するの?もしやエプロンの他には何も身に着けない気かな?どんな体育?
あ、やばい。ちょっと裸エプロンで跳び箱に跨る梓鶴さんを想像しちゃったよ。
かなりマニアックなお姿。だけど、鼻血が出てきちゃったよ。
頬を赤らめてうるうるの瞳で………
「違うし。今日は調理実習があんの」
………!?!?!?!?!?
調 理 実 習 !?!?!?!?
なんだって!?!?
懐かしい響きと思い出す好きだったあの子のエプロン姿!!
まさに青春だ…!
「調理実習かぁ。なんだ心配した」
「は?何を心配すんだよ。つーか鼻血拭けよ」
そう言って梓鶴はリビングにあったティッシュ箱を持ってきて俺に差し出した。
それを受け取り、ありがたく使う。出来れば拭いて欲しかったけども。
「いやいや、コッチの話」
そうかそうか、調理実習かぁ。
何作るのかな?
ん…?もしや………
こ、これは脱野菜炒めへの道を示しているのでは…?
「し…梓鶴さん。調理実習って何作んの?」
「あー?何だったかな」
ガサガサとスクールバックをあさり、プリントやら何やらが入ってるファイルから予定表らしきものを取り出した。
何かな?何かな?オムレツ?グラタン?
「あ、あった」
ん、と目の前に差し出された表。
梓鶴が指差す、今日の予定の欄を見る。そこにあったメニューは…………
【野菜炒め】
ぶはっ!!!!!
なんでやねん!!
ウチの奥さん、野菜炒めはもう十分なんだよ。何を隠そう十八番だよ。
だけど、そんな事は言えず…。
「…あ、そう。頑張ってね」
「ん」
任せろ、と言うと調理実習に必要なものをスクールバックに詰めた梓鶴さんはリビングに行ってしまった。
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