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奥様は×××




仕方く鞄から鍵を出してガチャガチャと開けた。
この時がねぇ、ちょっと切ないって言うか、情けないっていうかねえ。


「ただいまァ。しー…かはぁッ!!」

ドアを開け、靴を脱ぎながら嫁様を呼ぼうとした瞬間、俺の腹にどろっぷきっくがかまされた。
ダンッと重みのある音を響かせて嫁様は無事着地。旦那様こと、俺はドアに叩きつけられ、その場に崩れ落ちた。

「ピンポンピンポンうっせーんだよ!!一回鳴らしゃ分かるっつーの!!」

素晴らしい愛のムチで迎えてくれた奥様。そう、俺の愛しい愛しい奥さんです。

「…ッぁあ。痛ぇよ、もう少しおしとやかに向かえてくださいよ」

ものすっごく痛む腹を抱え、ズボンをぽんぽんと払ってやっとの思いで立ち上がった。


ん、とぶっきら棒に差し出された手に鞄を渡す。
顔をこっちに向けてくれない為に、本当にそうか分からないけど、「おかえり」って呟いた様に見えた嫁の口元に俺は笑みを隠せなかった。

あーあ、可愛い!!

「気持ちわりーんだよ」

馬鹿かと付け足され、頭を叩かれた。

はぁ、分かってくれた?俺の新婚生活には愛が溢れてるだろ?






「だいたいなぁ、帰ってくんのおせぇよ」

「だから、“仕事終わりが”6時って言ってるだろ?」

「うるせぇな。お前が6時がどーのって言ったんだろ」

うーん、だからねぇ、って何回言わせりゃ気が済むんだ。ウチの子猫さんは。なんだ、新手の愛情表現か?
夫婦間に亀裂が生じるのは会話の減少が大いに原因とされるからな。ちょっとした再確認でも会話ネタとしては十分だもんな。
寧ろ確認してくれるところに気遣いがあって良いじゃないかぁ。たとえそれが20回だろうが100回だろうが俺は面倒くさがらずに答えてやるさ。


あー、ほら愛が溢れてる!






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あきゅろす。
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