奥様は×××
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ピピピッ
ピピピッ
「ん…、朝…」
薄く開いたカーテンから朝日が差し込み、その眩しさに目を細めた。
あー、もっと寝てたい。ダルイダルイ。会社なんて行かないで1日中嫁といちゃいちゃしてたい。
だがそんな甘えが許されるわきゃない…。
ぼさぼさの頭をガシガシと掻いて隣で眠る嫁を起こさない様にベットから起き上がる。
リビングのテレビを付け、朝食の準備に取り掛かっていると、テレビからお天気お姉さんの甲高い声が聞こえた。
『ハッピーバレンタイン!全国のみなさぁん、おはようございます!今日は2月14日です。男性のみなさん、今日は待ちに待ったバレンタインですよ!!』
おやおやおや…?
そうか。そろそろだとは思ってたけど。
ちょっとした期待も込めて冷蔵庫に近づいた。
恥ずかしがり屋の嫁さんの事だ、きっと奥底に隠してあるに違いない。
起きてくる気配が無いのを確認して、取っ手に手を掛けた。
パカ
ふわぁっと冷気が俺の頬を撫でる。
…。
そうそう。ウチの嫁さんて、とーっても整頓上手なんですよ。
ほら、冷蔵庫の中がこんなにすっきり!なんていうか、ね。
何も入ってないよ。
まぁ、そうだよ。だって奥さんの得意料理は野菜炒めだもの。冷蔵保存する必要がないよね。
あ!でもほら、野菜室はどうかな?
ガラガラ
わお!野菜がいっぱい!!主にキャベツとにんじん、じゃがいも…。ジャガイモ!?梓鶴がじゃがいも触ってるトコ見た事ないけど…。
でも此処ならチョコぐらい隠せるだろうし、あるかもしれない。
フフンフン♪
うーん、野菜しかないな。ここも違うか。流石の奥様も野菜室にチョコレートは隠さないか。
冷凍庫には何も無いのは知ってるからなぁ。野菜炒めは冷凍保存しないもん。
じゃぁ、学校から帰ったらかな?
うーん…。
「オイ」
ちょっぴり不機嫌な声が後ろから聞こえ、ぽんと肩に手が置かれた。
振り返るとそこに居たのは愛しの奥様。
寝起きで明るい短髪があちこちに跳ねてる。
そんな姿も可愛い。
「おはよ。今日は早いな」
「ん、まぁな。色々支度があんだよ」
「支度?」
眠気眼の梓鶴さんは、そういうと徐にエプロンを手に取った。
え??どったの梓鶴さん。朝から料理するの!?朝から野菜炒めが頂けるの!?
ワクワクワクワクワ…
……ワワワ?
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