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奥様は×××







2人を見送ろうと自分も席を立つ。
すると、お兄さんがひとつだけ…と言い、私を制止させた。

「梓鶴、先に行ってて」

「は?何でだよ」

「良いから」

少し不安げな三上くんに、お兄さんは有無を言わさぬ抑圧的な声で答える。
三上くんはチッと舌打ちをして出て行った。

「あの、何か?」

「あ、いえ。対した事じゃないんですけど…」

なんだか言いにくそうに後ろ頭をガシガシと掻くお兄さん。

「何でもおっしゃって下さい」

私の促しに決心したのか、コソコソ話しをするように、私の耳元に近寄って小さな声で話し始めた。

「梓鶴って、学校で仲が良い子っていますか?」

「…?何人かと一緒に居るところは見ますけど…」

普通の声で答えるとお兄さんは人差し指を立てて、「しーっ」っと小さな声で話すように私に注意した。
何でそんな事する必要があるのか全く分からないけど、なんだかお兄さんは真剣。

「何人程ですかね…?」

端正な顔が目と鼻の先にある状況に私の顔が赤くなる。
か、顔が近い…。

「え?…よ、4人くらいですかね…?」

「4人…ですか…」

お兄さんの吐息が私の耳をくすぐった。落ち着いた低音が体に響いて、胸がドキドキする。

「え、えぇ。いつも一緒に行動してるのはその子達です」

「クラスメートですか?」

「はい…」

「その中でも特に仲良い子とか…います?」

「さ、さぁ?」

私の答えにそうですかと答えると、スッと離れていった。

「ありがとうございました」

輝かしい程のさわやかスマイルでお辞儀をしたお兄さん。
もう…、かっこよすぎです…。

「あ、あの、よろしければ今度お食事に…」

「本当ですか?先生のようなお綺麗な方に食事に誘って頂けるなんて光栄です。ですが…すみません」

私の誘いをお兄さんはサラリと断ると、失礼しますとお辞儀をして出て行った。
お兄さんがドアを開けた際、左の薬指にキラリと光るものを私は見逃さなかった。


なんだぁ、結婚されてるの?ショック…。




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