奥様は×××
4
「いつも梓鶴がお世話になっています。これ、つまらないものですが」
そう言って差し出された紙袋。
そこには有名店のロゴが見える。
やぁん!私、ここのお菓子大好物なのよね!!
でも…
「すみません、こういった物は受け取らない事になっているので…」
「え?駄目なんですか?」
「何やってんだよ!!恥ずかしいだろ!!つーか三者面談で菓子折り持って来る奴なんか聞いたことねぇよ!!」
確かに…。家庭訪問ならまだしも、三者面談で持ってくる方は初めてだわ。
それに加えて私は三上くんの態度にも驚いてしまった。
顔を赤らめて大声で怒鳴る彼は、余裕なんて全くなくてお兄さんに呑まれている。
こんな顔もするのね…。
それから、他の親御さんとなんら変わらず、成績や、進路、学校生活とあと三上くんの様子を伺いながら校則違反の身嗜みについて話をした。
その間お兄さんはとても真剣に聞いてくださって、それなりに質問もしてくるし、好印象を私に残した。
それだけじゃない。
柔らかい物腰に、営業マンだからなのか洗礼された話し方は正に大人の男性って感じがして……。
私の…ドストライク。
三上くんのお兄さんってカッコいいわ…。
「ほ、他に気になる事はございますか?」
「いえ、大丈夫です。本当に桐生先生の様な優しい方が担任で良かったです」
色々心配だったのかほっとした声を出したお兄さん。
何はともあれ、恐怖の三者面談だと思っていたものが、実際は全く普通の時間を過ごすことが出来て、私的にもとても良かった。
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