奥様は×××
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「はぁ…」
新任教師として歩み初め、今年初めて担任を任されたけど…。
本当に大変だわ。覚悟はしていたけど、これほどだったなんて。
「桐生先生?ため息なんて吐いて、どうしたんですか?」
声をかけてきたのは、年も差ほど変わらない体育教師。この職員室で席の配置が隣な事もあって、何かと気遣ってくれてる。
「あ、鳴海先生。いえ、三者面談って結構大変ですよね。最近の親は何度説明しても分かってくれないし…」
そう言って三者面談の日程表を見せた。
先程面談したご両親は特に大変だったわ。
ウチの子の何処がいけないの!?ゆうくんだって頑張ってるのに!!先生方は何処を見てらっしゃるのかしら!?
…なんて甲高い声でキィキィ騒いで。
気にするほど良い成績でもないし、生徒の方もあまりやる気が無いみたいなのに、親ばっかり騒いじゃってさぁ。
「仕方ないですよ。今の子供は学校と自宅での態度が違いますからね。次の生徒は…三上ですか?」
「えっと…はい。あの、先任の先生にお伺いしたんですけど、三上くんの家は三者面談、初めてだそうですね」
「3年生で初めて?あぁ、そう言われてみれば、彼のご両親を見た事ないですね」
「お兄さんが来るそうなんです」
「お兄さん?へぇ。一人っ子だと思ってました」
それから、彼の話題や他の生徒、進路相談についてなど談笑も交えているとあっという間に約束の時間に。
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