犬馬の心
1副会長さま
犬真said→
今日も例の部屋の前でひたすら蘭の用事が終わるのを待っていた。
もう3日目だ。おかげで蘭の理不尽で我侭な要求にも慣れてきたぜ。
もはや職務となった、この廊下での待機。俺は以前の経験を生かして常に暇つぶしになる物を持ち運ぶようになってきた。
取り出したのはポータブルゲーム。
タケルがうるせぇからやってみたものの……結構面白い。
学校の廊下でカチャカチャとひたすらゲームをする高校生。
しかも一人ぼっち。色々残念な感じが出ているが、そこは絶対に気にしちゃいけないところだ。
だけど…。
相変わらず蘭の目的がわからねぇ。
なんだってこんな部屋に3、4時間も入り浸って居るのかさっぱりだ。
それに態々俺が廊下で待つ必要があるのか…?
うーん。まぁ…いいか。
俺は刺青がバレなきゃ良いし。
ボス、出てきたし。
********
「あの、貴方が芹沢君?」
「は?ちょっと待って今イイ所!!」
カチャカチャと我ながら早い動きでボタンを押す。
漸くお出ましになられたラスボスに、俺は画面から目が離せないでいた。
あとちょっと…!!やべぇ!!コイツ強い!!回復薬はあと3つ…。これをどうやって上手く使うかが勝負の鍵だ。
「芹沢君」
「あ゛ー!!んだよ!!集中できね………え?」
(だ、誰?)
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