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犬馬の心







そっと犬真の広い背中に触れる。指が触れた瞬間、犬真の身体がピクっと反応した。
犬真の身体は媚薬の所為でもの凄く熱くなってる。冷水をかぶり続けてるけどそれもあまり効果がないみたい。

(大きい…)

自分よりも一回りも二周りも大きな背中に触れると嫌でも分かる、犬真との体格差。
完全に僕とは対照的な身体は筋肉が凄くて余計な肉なんて何もない。
健康的で地黒の肌が浴室内の薄暗い照明でなんだか艶めかしく見える。
それに、赤い彼岸花がとても綺麗。水滴できらきらしてる。

手の平全体を背中につけて恐る恐る背中を撫でた。
僕の手に犬真の熱が伝わる。冷水をかぶり続けているのにものすごい熱い体温。
触れるたび、柴犬も震える。

さっきも背中を撫でたけどそんなのと全然違う。
お、お互い裸…だし、って言うか…犬真はその、処理中な…訳だし…。

(なに、これ…)

これって、僕の手はオカズになってるのかなとかチラっと考えたけどこんな中途半端じゃ何にもならないはず。
大事にしろって言われたのを改めて思い出した。

つまり…ものすごく大事にされてるの…かな…?
そんなに僕の手が汚れるの嫌って事…でいいのかな…?

(…わかんないよぉ…。何考えてんのか全然わかんない…)

男ってもっと単純でアホで肉欲ばっかりだと思ってた。
こんな意味不明な人初めて見る…。
刺青なんてあるのに童貞だし。
こんな状況でもヤろうとしないし…。

「…犬真って変だよね」

「…ッ…あ?」

「変人」

「うっせぇッ…ン…、おめぇの所為だろ…ッ」

そういう意味じゃないんだけどな。


まぁ…いっか。





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あきゅろす。
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