犬馬の心
6
卑怯極まりない甘い甘い悪魔の囁き。
薬を盛られていつも以上に昂ぶっている俺を可愛い顔がさらに追い込む。
男ならこんなことされたら誰でも堕ちるだろう。
エロイ気分、可愛い子、お互い全裸。みろ、まさに三種の神器とも言うべきものが見事にそろってる。
東はセックスなんて簡単だって言ってた。
『一度ヤっちまえばすぐ慣れるって』
(すぐ慣れるもんなのか?)
『ここまで来てヤんねぇ奴は男じゃねぇよ』
(ここまで来て………)
目の前の蘭をぼやけた頭でぼんやりと見る。
俺の視線に気づいた蘭は見せつけるように上唇を舐めた。その仕草のエロイ事。
(………男じゃねぇ……か…)
蘭の指がそっと俺の昂ぶりに触れた。
(俺、脱…童貞…?)
こんなとこで?薬盛られて?俺の事、好きだとも思ってないやつと…すんのか?
俺、そういうやつだっけ?
約束……しただろ?
俺は咄嗟に蘭の肩を掴んで、強い力で抱き寄せた。
昂ぶりに触れた指は離れ、俺の腕に身体ごと収まる。
「ちょ、犬真?」
熱くたぎる身体は触れ合うだけで全てが快楽へと変わってしまい、正直かなり辛い。
しかも内腿を触られていた時よりも抱きしめている今の方が他人の温もりを感じて余計苦しい。
動くたび、擦れた部分がオカシな熱を帯びる。もっと確かな接触が欲しくなる。欲しくて欲しくてたまらない。
だけど、蘭の動きを防ぐ事が出来た。
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