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犬馬の心







あまりに小さな声で聞き取れなかった。もう一度聞き返そうとしたら瓶底メガネの瞳が下から俺を睨み上げた。

「………よね?」

「…え」

ぼそりと呟かれた言葉。
またもや聞き取れなくて、反応を返さない俺にまるで呪いの呪文でも呟いているかのような声で再度呟かれた。


「……………来・る・よ・ね……………?」

「お、おう」

「やったぁ」

思わず鳥肌が立った。そんな俺に蘭は全く気づいてない。





********





ぼさぼさ野郎の後に付いて行くが何処に向かってるのかさっぱりだ。
だいたい、学園自体広すぎなんだよ。

「なぁ、何処行くんだよ」

隣を歩く蘭に問うと、帰って来た答えは【第3理科室】だった。

「は?なんで??つーか、アイツ何なんだよ」

「先輩は科学研究部の部長さんだよ」

「んな奴がお前に何の用なんだよ」

つーか何で俺が巻き込まれてんだ…。

「部員勧誘だって」

そんなの完全にお前目当てじゃねーか。やっぱ断ればよかった。クソ面倒くせぇ。


*******


なんだかんだで辿りついてしまった第3理科室。
この学園は、外装はイカレてるけど中の教室はいたって普通。…いや、見た目は普通なんだけど床が大理石だったりと材質には凝ってる。
この理科室も例外ではなく、見た目は中学の時に使っていた理科室そのまんまだった。






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