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犬馬の心
1科学研究部 部長さま





*******


犬真said→




「蘭」

「あ、犬真くん」

超全力疾走で教室まで行くと蘭は廊下にいた。
誰かと話していた様で振り向いた後ろには人がいる。
んとに、皆こんなやつにちょっかい出してよく飽きねーな。

(今度はどんな奴だ?)

ちょっとした好奇心で相手の顔を見ると予想外な顔で驚いた。
蘭を取り巻く奴は自分の容姿に自信のあるやつが多い。それなりに綺麗だったりカッコイイやつばかり。
でも今、目の前に居るのは全く違う。
ひょろひょろとした体で髪はぼっさぼさ。制服のブレザーはしわしわ。顔には黒縁の瓶底メガネをかけたいかにも地味…いや、だっせぇ男だ。
ダサすぎてなかなか忘れらんねぇ。

蘭は丁度良かったとぼそりと呟き、何が?と問う前に相手に向き直って

「彼が一緒なら良いですよ?」

と一言。

「「は?」」

思わず漏れた声が目の前の奴とかぶった。
全く状況が掴めない。

前髪が瓶底メガネにかかっていて表情ははっきりとは見えないが相手が嫌がっているのは確実。

「や、俺は…」

断ろうとした瞬間、蘭は俺の腕にわざとらしく抱きついた。そしてお得意の甘えた猫撫で声を出す。

「じゃぁ僕も行かなあい」

「お前そういう事人前ですんなって」

「え〜、人前じゃなかったらいいの?」

良いわけねーだろッ!!と口にしようとした瞬間、反対の腕をぼさぼさ野郎に掴まれた。
意外と握力は強いらしい。というか細い指が俺の腕に食い込んで痛い。明らかな敵意が表れていた。

「オイ、離せよ」

低い声で威嚇する。それ以上、指を食い込ませるつもりならそのほっせぇ腕をへし折っても良いんだぜ?

「……うらやましい……」

「あ?」





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あきゅろす。
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