犬馬の心
1山崎 タケル
「なんだよ!!!」
「全然ちげぇよ、気持ち悪ぃなッ」
「ひどッ」
ひどくねぇよ。これだから馬鹿は!!
アホらしい。こんな話に付き合ってらんねぇ。そもそも俺は落ち込んでるっつーから来てやったのに。
あ、そういえば忘れてた。
「つーか、お前どうだったんだよ?」
「どうって?」
「昨日だよ、昨日。誕生日誘ったんだろ?」
危うく忘れる所だった。
ったく、余計な事しちまったぜ。さっさと部屋に帰ってRPGの続きでも…
「………」
シーン……
……っていつまでたってもタケルの返事がねぇ。
変に思ってタケルを見るとオレンジ頭がうつむいていた。
「おい、タケ……ル?」
俺の呼びかけに頭を上げたタケル。だけどその目にはたっぷりの涙が溜まっている。
「…け゛ん゛ま゛ぁ…」
まさに『だっぱぁ』って効果音がぴったりな程、奴の目から水が溢れ出た。
「ど、どうしたんだよ!?!?」
「うくッ、話せなかったんだよッ…ひくっ」
話せなかった?…ってどういうことだ??
「何が…『ピリリリリリ♪』
聞こうとしたところでポケットの携帯が鳴り響いた。
取り出して見ると蘭からの着信。
無視しようかとも思ったがあいつの事だ。何を言い出すかわからない。
俺はタケルをなだめながら通話ボタンを押した。
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