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犬馬の心






3人に連れてこられたのは蘭のクラスだった。
でも蘭はどうやら不在みたいだ。
1人が教室の前で「琢磨」と呼ぶと少し小柄な生徒が出てきた。

取り次いでくれた奴に代わって用件を話すとあっさりと教えてくれた寮長。
俺を見た瞬間の反応に備えたが、「もしかして芹沢君?」と言っただけでびびられることはなかった。
やっぱ寮長とか任せられる奴は肝が据わっててしっかりしてんだなぁ。

「僕、同室なんだ。教室に行ってないの?」

「あぁ。朝から一回も来てねんだ」

「おかしいな。確かに一緒に部屋を出たんだけど。もしかしたら屋上かも。なんかすごく落ち込んでたし…」

屋上か…。行ったことねんだけよなぁ。
行き方を聞こうと口を開きかけた瞬間、なにやら視線を感じて隣を見れば、ここまで連れて来てくれた3人がきらきらの目で俺を見ていた。

「俺ら案内しますよ!!」

「サ、サンキュー」



*******


案内してもらったおかげですんなり屋上に着いた。

ドアを開けた瞬間ブワッと突風が吹く。太陽に近いからかものすごく熱い。何よりコンクリートからの照り返しがやばい。
こんなとこに居んのか?落ち込んだ心持で居るには不似合いな場所としか思えない。
ここじゃないのかもと諦めかけた次の瞬間、「あれじゃないっすか?」と3人のうちの一人が指差した。
見れば上裸で制服のズボンをこれでもかと捲し上げてサングラスをかけたタケルが備え付けのベンチに寝転んでいた。

(何やってんだアイツ!!!!)

「オイ!!タケル」

「あれ?犬真。どした」

「どした?じゃねぇよ。何やってんだ」

「何って…。この学園日サロねーじゃん」

っんとに設備がなってないよなぁと付け加えた。

「お前なぁ。教室来ねぇから心配して来てやったんだろうが!!」

「あー、悪い悪い。」

んとに悪いって思ってんのかよ。





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