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犬馬の心






だがこのままじゃなラチがあかない。
もう一度よく考えろ、と脳みそをフル回転させる。

(……恋愛は自由だろ?)

自由とはなんとすばらしい魔法の言葉なんだ。ははは。



俺は意を決して立ち上がった。

なんてったってこの俺のファン(『俺のファン』とか…。かなり恥ずかしいな)に話しかけるのは初めて。
変に相手しても期待させるだけだと極力避けていた。
つーかどうして良いかわかんなかったし。

そんな俺が初めて彼等に近寄った訳で、前列の数人が近づく俺を目を丸くして凝視している。
まるで大好きな芸能人に初めて会うことが出来たファンのような反応。

(そ、そんなにか…?)

少しの罪悪感と嬉しさが混ざる。
俺は怖がらせないように出来るだけ優しい声を出すように心がけた。

「な、なぁ」

「「キャー!!!!!!」」

声をかけたと同時に発狂した彼ら。
思わず耳を塞いじまった。

「ちょ、聞きてぇ事あんだ」

一言発すると一同は一斉に人差し指を口元に当てて「しーっ」と静かになった。
妙な団結力を見せつけられて戸惑ってしまう。

「わ、悪ぃな。えっと、一年の寮長って誰か知ってるか?」

「ハイッ!!ハイハイッ!!」

俺の質問に後ろの方からデカイ声と共に勢いよく手が挙がった。
声を上げた奴を筆頭に、前列の生徒を掻き分けてやって来た3人の男子生徒。
中心の奴は前に来るなり、俺の手を取った。

「俺等のダチっす!!!案内します!!」

「あ、あぁ。ありがとな」






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あきゅろす。
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