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犬馬の心
1三バカ






犬真said→



翌朝、いつものようにしっかりと朝食の用意をしてやり、蘭と共に登校した。
蘭と別れて教室に向かう廊下を歩きながら昨日の事を思い出す。

宝探しか…。蘭の奴にしては意外だったなぁ…。
でもアイツも苦労してんだな。
お袋のためだったなんて。泣けるぜ…。
アイツのあんなに屈折して最悪な性格も自分とお袋を守るために仕方なかったのかもしれない。


教室に着き、ドアを開ける。
しかし、そこで違和感を感じた。
いつもならでっかい声で向かえてくれるタケルの姿がないのだ。

(あいつまだ来てねぇのかな…?)

それから1時間目、2時間目と授業はどんどん始まって終わっていくのにタケルは一向に現れなかった。

アイツの部屋に様子を見に行こうにも部屋がわからない。
いつも放課後の教室とか食堂とかで馬鹿話をしたりゲームしたりして別れるからお互いの部屋にはまだ行った事がなかった。
誰に聞けばわかんだ…?


(あ、そうだ。一年の寮長?ってやつに聞けば分かるのか)

でも何組のどいつかもわからねぇなぁ…。
休み時間の教室一帯を見回すがみんな各々で談笑したり予習したり本読んでたりでどうも話しかけられる奴が居ない。
俺への印象は大分変わったようだが、人見知りでもある俺はタケル以外のクラスメートと今だに話せないでいる。

(……困った。突然話しかけてびびられてもつれぇしなぁ…)

と、思ったところで俺の目は教室のドアで止まった。
そこに居るのは飽きることなく俺に熱い視線を送ってくる人々。

俺が視線を向けた所為か男子校にあるまじき黄色い声があがった。まるで女子高生のようなそれ。

「……」

(アイツラならビビらないで話聞いてくれそうだよな……)

ふと頭を過ぎった考え。でも頭を振ってそれを消し去る。

(危ねぇ。触らぬものに祟りなしだぜ。)





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