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犬馬の心





蘭said→


部屋に戻った僕は怒りに任せてベットの上でクッションをバンバンと叩いた。

ありえないありえないありえないッ!!!!
なんなの!?この僕に意見するなんて信じられない!!
しかも刺青をばらすと脅したのに『上等』だなんて格好つけて!!!
全然格好良くないよ!!顔面凶器のくせにッ!!

けれど一方でさっきの会話を思い出して笑いが込み上げてきた。

「ふっ、…あははっ!本当、馬鹿で助かったなぁ」

犬真の馬鹿さ加減に笑いを堪えるのが大変だった。
ちょっと暗い顔して泣く振りをしたら直ぐ騙されてさぁ。ちょろすぎるよ。


『母が病気で大金が必要』


そんなわけ、ないじゃん。
大嫌いな母は残念ながら健在だよ。あんな女、本当に死ねばいいのに。

思い出される最悪と呼ぶにふさわしい記憶。
自然と眉間に皺が寄っていることに気づいて気持ちを落ち着かせようと深呼吸した。



犬真のアホに付いた嘘はさておき、宝石職人の作品を探しているのは本当の事。


誰が持っているのかも分かっている。


僕はそいつに会うためだけにこの学園に来たんだ。
でも残念なことにそいつに会う事は容易じゃない。
容姿は誰にも劣らないとしても、僕は何百人と在籍する一般生徒の中の一人でしかないのは違えようもない事実。
今の僕ではそいつの足元にも近づけない。

だから僕は周りを固める事を考えた。
多くの生徒を虜にし、この学園内で大きな力を手に入れてやる、って。




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あきゅろす。
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