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犬馬の心






「んな事なら手伝ってやるに決まってんだろ!!」

「本当に…?ありがとッ!!」

蘭はパッと顔を上げてウルウルの瞳で俺を見つめると、先ほどの涙を1ミリも感じさせない満開の笑顔で抱きついてきた。
俺もそれを受け止め、しっかりと抱きしめ返してやる。

「お前、よく独りで頑張ってきたな…ッ。俺も、手伝ってやる!!お前一人じゃねぇからなッ」

「う、うん」

視界が涙で歪んでくるぜ……。男ってモンはそんな簡単に泣いちゃいけねぇって親父に教わったのにッ。
蘭をより一層強く抱きしめた。だが、そこで俺はハッとして大事な事を思い出した。

(…あ、危ねぇッ!!忘れる所だった!!)

俺はバッと蘭の体を離した。
肩を掴んで目線を蘭にあわせる。

俺は思い出したのだ。蘭の淫行を辞めさせなければ、と心に決めていた事を。
蘭はキョトンとした顔で俺を見つめ返す。

「お前の手伝いはする。だけど一つ条件がある」

「な、何?」

俺の真剣な面持ちに少し戸惑う蘭。

「…もう絶対に体は使うな」

蘭は言葉の意味が理解できなかったのかポカンとした。そしてすぐさまその顔がしかめ面に変わる。

「は?ちょっと待ってよ。なんでそんな事犬真に制限されなきゃいけないの?」

「息子が援交まがいな事して稼いだ金なんて喜ばれるわけねぇだろ」

「確かに計画のためっていうのもあるけど、僕にだって性欲はあるんだよ!?」

(ぶはッ)

性欲って…。さすがの俺もその返答にひるむ。
可愛い顔して性欲なんて言うなよ。
そんなことをサラッと言ってしまうところがやっぱりコイツは男だなって思う。
だけど、性欲処理なんてもっと適当に出来んだろーが。

つーか、俺なんて年齢=ほにゃららな訳だし?…右手が恋人…みたいな?
って何自爆してんだ…。今は俺の話なんかいいんだよ。

「俺はお前のために言ってんだ」

「刺青ばらすよ」

予想通りの言葉。だけど俺は引かない。

「好きにしろ」

「なっ…!!学校に居られなくなるんだよ!?」

「上等」

「〜〜ッ!!もうっ!!分かったよ!!」

怒りながらも了承した蘭はバンッと大きな音を立てて自室のドアを閉めた。





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あきゅろす。
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