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犬馬の心







頭痛ぇ。この学園はかなりオカシイと思っていたが、そんなお宝まであるとは。

(んなすげぇお宝がこんな設備の整った敷地内にあるならわざわざ海に出なくても良いじゃねぇか。)

と、某海賊漫画を絡めて脳内で突っ込みを入れているとふとある事に気づいた。
蘭はお宝探しを楽しみたい訳じゃねぇだろ。面倒くさがりだし、何で僕がわざわざそんなことしなきゃいけないの?って性格だし。
ってことはやっぱり金が欲しいって訳で…。

「ちょっ、ちょっと待てよ。お前、やっぱ金のために体使ってたんじゃねーか!!」

それじゃ副会長の言っていた、蘭の売春まがいの行為をしているという噂だってあながち嘘じゃないってことになる。
そんな事に手なんてかせるわけがない。

真剣な顔で蘭の返答を待つ。答え次第では俺だってはっきり言わなきゃなんねぇ。

すると蘭の顔が曇った。唇をかみ締めて俯く。次第に小さな肩が震えだし、両手で顔を覆った。
しかも「…ッ…ひ、くッ…」と嗚咽まで漏らして。

(え!?な、泣いてんのか!?)

「ら、蘭??」

「…ヒクッ…誰にも…ッ、言わないで欲しいんだけど…」

「あ、あぁ。言わねぇから…」

嗚咽交じりに小さな声。か細い肩が余計小さく見える。

「僕の…お母さんが病気で…ヒクッ…大金が必要なの…ッ」

……………な…………なんだって……!?!?

「え…ちょ、…は…?」

病弱の母と聞かされてすぐさま『となりのト○ロ』のお母さんの姿が目に浮かんだ。
会ったことない蘭の母の姿を勝手に脳内で想像する。
ベットに腰掛け、黒髪をゆるく結わいて弱弱しく、はかなげに微笑む母の姿…。
想像しただけで涙が出そうだ。
俺はお袋との思い出が一切ないからかこんな話はめっぽう弱い。

「ば、馬鹿やろ…ッ早く言えよ!!」

そうか…。だからこの前『犬なんかにわかってたまるか』って言ってたのか。そうだよな。こんな辛い想い、そうそう分かるもんじゃねぇ。
こんな小さな肩に親の命を背負ってたなんて…。
そんな理由を聞かされて手伝わない奴なんて男じゃねぇッ!!




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あきゅろす。
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