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犬馬の心







*******



…コイツラ…。

終始デレデレしっぱなしの2人。
いくら女が居ないからと言ってその顔はどうかと思う。
つーか、タケルは建明一筋じゃないのかよ。

「蘭ちゃんジュース飲むか?持ってきてやるぞ」

「わぁ、ありがとうございます!」

うわ、建明さん鼻の下伸びすぎだろ。

「建明さん、俺コーラ!」

「誰がテメーに持ってくるかよ。つーかお前が持って来い」

うへッと苦い顔をしつつも、尻を叩かれタケルは厨房に向かった。





「建明さんって、ここの卒業生なんですか?」

貰ったサンドイッチを小さな口で可愛らしく食べていた蘭が唐突に聞いた。

「お、よく知ってるな。お前らの10年くらい先輩だぜ」

「へぇ」

(初めて知った。ここの卒業生だったのか。じゃぁ、卒業後コックになってもどってきたってことか?)

なんてつらつら考えていたら、突然、悪寒を感じて身震いした。
嫌な予感と共に横目で蘭を見るとあの悪魔のような顔で笑っている。

「ら、蘭…?」

そう呟くように呼んだ瞬間、蘭は俺との距離を詰めて頬に手を添えてきた。

「ねぇ、犬真くぅん」

甘ったるい猫撫で声で俺の名前を口にすると、頬に添えられた手が徐々に首筋に下がる。指先で撫でられ、くすぐったさと色気たっぷりの動作に背筋がぞわっとする。

「ちょっ、何やって…」


人が居る前で悪ふざけにもほどがある。やめさせようと声を上げるが思いのほか蘭の顔が間近にあって言葉に詰まった。やっぱり大人気なだけはある。ものすっごく可愛い。
ショートカットの女の子に迫られているかのようで、お付き合いをしたことがない俺は赤面して何も言えなくなってしまう。
するするっと首筋を撫でていた手が鎖骨まで下がり、流れる動作でワイシャツの襟を広げた。





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