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犬馬の心







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タケルの後を追ってたどり着いたのは中庭。
どうやらここは厨房の裏口と繋がってるらしい。


さすが城の様な学校だ。中庭は広く、中央には大きな噴水があり、それを囲むように花壇とベンチが置かれている。
こんな所初めて来た。

建明は厨房の裏口を足で押さえ、抱えていた籠を中に運ぼうとしているところだった。
タケルの呼びかけで俺たちに気づくと笑顔で応えた。

「タケルに犬真じゃん!こんな所で何やってんだよ」

「俺の隼人レーダーがピコッて反応したから追っかけてきた」

「なんだそれ。つーか飯は?もう食った?」

「まだっス」

じゃ、ちょっと待ってろと建明は中に入っていった。



「そういや、なんでわざわざ昼なんだよ。夜も行くんじゃねーの?」

裏口への段差のふちに座り、建明を待つ俺ら。
さっきから気になってた事を隣に座るタケルに聞いてみた。

「まぁまぁ。約束は早いうちにしねーと誰かに取られちゃうだろ?」

意味わからんという顔で見ると、タケルは知りたい?と嬉しそうに笑った。

「明後日さ、建明さんの誕生日なんだよね」

「まじで?つーかなんでそんな事知ってんだ?」

「はぁぁ。これだから犬真は」

「んだよ」

「好きな人の事は何でも知っときたいって思うのはフツーだろーが。それに、サプライズで祝ってやったらキュンてくるんだよ!」

「…へぇ」

そういうもんなのか。
全然考えたことねぇわ。

「んで?何すんの?」

「んー、とりあえずまだ考えてない」

「はぁ?とりあえずじゃねーじゃん」



タケルを小突いて笑いあい、俺達はしばらくじゃれあっていた。






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