犬馬の心
5
**********
タケルの後を追ってたどり着いたのは中庭。
どうやらここは厨房の裏口と繋がってるらしい。
さすが城の様な学校だ。中庭は広く、中央には大きな噴水があり、それを囲むように花壇とベンチが置かれている。
こんな所初めて来た。
建明は厨房の裏口を足で押さえ、抱えていた籠を中に運ぼうとしているところだった。
タケルの呼びかけで俺たちに気づくと笑顔で応えた。
「タケルに犬真じゃん!こんな所で何やってんだよ」
「俺の隼人レーダーがピコッて反応したから追っかけてきた」
「なんだそれ。つーか飯は?もう食った?」
「まだっス」
じゃ、ちょっと待ってろと建明は中に入っていった。
「そういや、なんでわざわざ昼なんだよ。夜も行くんじゃねーの?」
裏口への段差のふちに座り、建明を待つ俺ら。
さっきから気になってた事を隣に座るタケルに聞いてみた。
「まぁまぁ。約束は早いうちにしねーと誰かに取られちゃうだろ?」
意味わからんという顔で見ると、タケルは知りたい?と嬉しそうに笑った。
「明後日さ、建明さんの誕生日なんだよね」
「まじで?つーかなんでそんな事知ってんだ?」
「はぁぁ。これだから犬真は」
「んだよ」
「好きな人の事は何でも知っときたいって思うのはフツーだろーが。それに、サプライズで祝ってやったらキュンてくるんだよ!」
「…へぇ」
そういうもんなのか。
全然考えたことねぇわ。
「んで?何すんの?」
「んー、とりあえずまだ考えてない」
「はぁ?とりあえずじゃねーじゃん」
タケルを小突いて笑いあい、俺達はしばらくじゃれあっていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!